いってきます! Fly to HKG [Hong Kong]

赤い電車の最終で羽田空港にたどり着き、早朝便を待ってます。
HK Expressが「帰国便10円!」というプロモーションをやっていたのでそれに乗っかり、6日間の香港旅確定。
昨年1月以来の渡航ですが、前回は風邪ひいて帰って来たのでちょっとした「リベンジ香港」。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31 (おんたいむ香港)
その安売りチケットの内訳はこんな感じ。
運賃 JPY 7,090
空港使用料等 JPY 6,030
手荷物 N/A
手数料 JPY 1,360
---------------------------------------
合計 JPY14,480
行きは一番安い7,080円で当たりをつけ、帰りは10円を探し当て、
いつものように預け荷物ナシ、座席指定ナシの一番儲からない客としてブッキング。
香港行きで1,4万なら悪くはないかな、倍以上の距離でソウル便と変わらない値段ですからねえ。
HND 06:35 / HKG 09:55
HKG 14:15 / NRT 19:40 という変則フライトですが、時間的には丸々6日間使えちゃうアレンジに。
日程に余裕があるので、週明けにはマカオにでも足を延ばしてみようかな、とも企んでおります。

このところですが、いつものように9月になってNFLのレギュラー・シーズンが開幕、
10月になるとMLBのポスト・シーズンも動き出し、
ドタバタと出かけて行ったバリ島から戻ると、なんだか忙しい日々が続いており、
ブログの更新もすっかり滞っておりました。
未だ2015年2月のネタをUPしたところ、キャッチアップはいつのことやら。
そんな中、『ビッグ・パピ』のラストシーズンにもう一度頂点を、と我がボストンの奮闘を見守っておりましたが、
あえなく初戦で退けられ、しかもスイープというあっけなさ、いいところなしで「赤靴下」はシーズン・エンド。
NBAが早々に導入し、NFLで一気に広まったフリー・エージェント(FA)というシステムは選手に流動性を持たせ、
どのチームも経営次第で優勝が可能、というリーグとしては理想的な環境を作り出しましたが、
いわゆる「生え抜き」や「XXの誰々」といったチームの色が薄まる、という裏側をもたらしたわけで。
オルティズにしろ、広島の黒田にしろ、1つのチームに居続けるというのは、
スポーツ選手の年棒だけが異常に高騰していく中で、
選手サイドとしては新しいプレイヤーズ・ライフの選択かもしれないですねえ。
さて香港行きのフライト。
Webチェックインで搭乗券を持参し、預け荷物ナシならそのままゲートに向かえますが、
プリント・アウトが煩わしかったので、カウンターでボーディング・パスだけ受け取ることに。
座席指定は追加料金が派生するため、Webではそのままにしておきましたが、
(Web上で席を選択すると料金が派生するようになっている)
チェックイン・カウンターで「窓際にしますか? 通路側にしますか?」との問いかけ。
フライトがあまり混んでないとこういう提案もあるのです、LCCでも。
いつものように「通路側」をもらい、ボーディングへ。

早朝の羽田は免税店が数店舗開いているだけで静か、その中を一番遠いボーディング・ゲートまで歩かされる。
機内に進むと3+3の座席は有料の前方席だけガラ空きで、後方はビッシリ。
一列占拠して香港まで横になる作戦は、残念ながら導入できないみたい。
あきらめてタテのまま、エア・ピロー膨らませ、眠りに就き、いってきます。
20, OCT. 2016@HND
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ネイザンロード(彌敦道) @Hong Kong -完- [Hong Kong]

-Day 7- 1月31日
曇っていて肌寒い、なんなんでしょう、今年の香港の一月の気温。
朝目覚めると熱は下がっていて、いつもと同じ体調が戻っていた。
「豆漿」を胃袋にブチ込んだだけでひたすら寝続けたのが功を奏したのかもしれない。
扁桃腺からきた熱なので、ただただ眠るだけが対応策、おかげで6日目を丸ごと寝つぶしたが。
汗でべとつくカラダをシャワーでリフレッシュし、規定通り12時ちょうどにチェックアウト。
チェックインのときと同じベッドメイクのおばちゃんがいたので、
同じように身振り手振りで「バゲージを15時頃まで預かって置いてほしい」と伝えた。

ホテルだろうがゲストハウスだろうが安宿だろうが、
宿泊客であればチェックイン前にバゲージは預かってくれるし、チェックアウト後も荷物はキープしてくれる。
ホテルではカギのかかるバゲージ・ルームに置いてくれるが、安宿などでは物置や通路に置くだけということも。
いずれも場合も預けるものはカギのかかるものがオススメ、
海外の宿では値段の違いがセキュリティやサービスの違い、と思ってください。
アヤシイ身振り手振りの中に、3時を意味する「サンテン」という北京語を入れたのがよかったのか、理解を示してくれ、
「ここに置きなさい」という感じで廊下の隅の用具入れを示してくれた。
「OKら~、モウ・マン・タイら~(無問題デス)」
キャスター・バッグを置き、シンガポールでもよく使うフレーズを陽気に口にするとおばちゃんはちょっと驚いた顔をして、
「広東語、わかるんじゃない!!」という感じでまくしたてて来たが、
「ムリムリ」という感じで手を振ると、こちらの様子を見て、ケラケラ笑ってくれた。

帰国便は19:10、時計とにらめっこの香港カウントダウン。
熱を出して寝込んでいるときにSMSが飛び込んできて、「帰国前にランチ食べよう」というハナシになっていた。
「回復したら」というリマークをつけて返信したのだが、待ち合わせの場所と時間が送られてきた。
この日は土曜日、オフィス・ワーカーの香港人も帰国するこちらのために時間が割けるようで。
待ち合わせの前にあらためて冷たい「豆漿」を買い、カラダに注入。
今回に関しては「豆漿」が特効薬、こいつがなければ「客死」を遂げていたかもしれない。
13時にモンコック(旺角)で待ち合わせ。
「生き返った? 食欲あるならなに食べたい?」
「なんとかね。性質が悪いことに『食欲が落ちる』という経験がないよ、今まで。
そうだなあ、『クレイポット・ライス』って香港にもあるの?」
「クレイポット・ライス」は素焼きの土鍋で炊き込んだご飯、干し肉や海鮮などバリエーションも豊富だ。
シンガポールでは『瓦煲飯』と表記する。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-05-10 (クレイポット・ライス@シンガポール)
「あるわよ、香港では『ポウチャイ・ファン(煲仔飯)』、じゃあランチはそれね。
ほかにはリクエストはある?」
https://www.hongkongnavi.com/special/5032105 (ボウチャイファン・香港ナビ)
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「昨日一日ツブしちゃったからスーパーで調味料とか乾物とか買えなかったんだけど、
もういいや、LCCだから重量制限もあるし」
土曜日、香港の中心地であるモンコック(旺角)はかなりの人手だ。
買物、食事、映画・・・、旅行者でなくてもここには週末に人が集う。
そんな人波をかき分けながら、彌敦道(ネイザン・ロード)を越え、西側を目指した。
「前にこの北側でおいしい店があったの。少し歩くけどダイジョウブ?」
「無問題(モー・マンタイ)ら~。少しカラダ、動かさないとね、帰りのフライトがツライ」
そんな感じでクダラナイ話をしながら、ネイザン・ロードを太子駅方面へ北上しつつ、店を探した。
「あ、ここ、ここ」
運よく見つけ出したものの、店は少し混んでいた。
昼飯時は過ぎていたが、休日のランチはみんな遅めの動き出しなのだろう。
満席の店内に案内され、席に着き、メニューを広げた。
ところが「煲仔飯(ポウチャイファン)」の文字がない、壁にはそれを推す写真が貼ってあるのに。
「クレイポットないの?」彼女にそう言い、オーダーを取りに来た店員に尋ねてもらった。
「ボウチャイファンは夜しかやってないんだって~」
店員に答えをもらい、ゲラゲラ笑い合った、それが食べたくて入った店なのにそれがないなんて。

「それを食べなきゃ帰れないわけじゃないからいいよ。じゃあ、『ダックライス』にするカモ~」
メニューにあった品目から「焼鴨飯」をチョイス、彼女は「焼豚飯」を頼んだ。
「なんでまた『ダックライス』?」
「またじゃないよ、この前は『チキンライス』、だけど『ダック』のほうがおいしかったじゃないかあ!」
まさか今度も『チャーシュー』のほうがおいしかったりはしないよな?」
やって来た「ダックライス」は「北京ダック」にも近く、皮はパリパリと音を立てる香ばしさだった。
http://www.hongkongnavi.com/special/5000979 (ローストご飯・香港ナビ)
「ああ、久しぶりのご飯、お米、パイファン(白飯)、しかもこのダック、たまらないなあ」
「最後に香港のおいしいものを食べてもらえて、うれしいわ。写真撮らなくていいの?」
「こんな混んでる店で写真撮る気しないよ、今は食べることが最優先だね、昨日ご飯食べてないので渇望中。
香港もあとは空港バスでおとなしく帰るだけカモ~、買い物もしない~。
オイシイモノをいろいろありがとう!!
また安いチケット手に入れたらご飯食べにくるよ、今度は『ボウチャイファン』を」
賑わう店内、野暮な一眼レフは取り出さず、香ばしい鴨に集中した。

「風邪にいいから」と途中で買ってもらったジンジャー・ティを片手に、
15:40、ジョーダン・ロードからA21の空港バスに乗り込んだ、空港アクセス$33也。
16:30、空港到着し「チェックイン」、預け荷物はないので「手荷物検査」、「出国手続き」と流れるように進み、
『プライオリティ・パス』で早めにビジネスクラス・ラウンジに滑り込んだ。(写真4)
ラウンジ滞在ができるので、LCCでも旅する気にさせてくれるのは『プライオリティ・パス』の効能、
ざわつく空港で腰を据える場所があるのは助かるし、フライト前に小腹を満たせるのはLCCだと強い味方だ。
羽田に降り立つのは日付が変わった0:05、8日間とはいえ、正味5日しかなかった旅が終わる。
香港紀行
2015年1月26日~2月1日 by UO623 & UO622
-完-
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出発前の空港、みなさんはナニして過ごしていますか?
免税店をウロウロ? カフェでセカセカ? 搭乗ゲートでイライラ?
「格安航空券」だろうが「LCC」だろうが、
各空港のある『ビジネスクラス・ラウンジ』でゆっくりビールやワインなんていかが?
【プライオリティ・パス】があればそれが可能、情報詳細は↓コチラをご覧ください。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17
「カードの年会費10,800円は高い!」と思うかもしれませんが、
『ビジネスクラス・ラウンジ』の利用料は1回US$30ほど。
1度の海外旅行で日本出発時に1回、帰国時の空港で1回、往復2回ラウンジを使えるわけですから、
年間2度、海外旅行に出るとすでにモトは取れてしまいます。
空港によっては国内線でもラウンジ利用可能ですから、帰省時や国内旅行でも便利!
そのほかに「トラベルコース」を選べば、年2回の『手荷物宅配サービス』が付帯しますので、
単純計算で1,500円前後x2回分が浮いちゃいます。
国内も海外も旅行にこの1枚 さらに今なら入会時にポイントプレゼント、
初年度はこれだけでも会費を補えるので、試しに使ってみるのもアリです。
カードには最高5,000万円の『海外旅行傷害保険』&『国内旅行傷害保険』が付帯するので、
不安が多い海外旅行でも安心ですね。
実際に利用した各都市空港ラウンジの報告記はこちらのリンクから!
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23 バンコク・スワンナプーム(BKK)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-08-16 マニラ・ニノイ・アキノ(MNL)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20 シンガポール・チャンギ(SIN)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-10-13 ヒューストン・G・ブッシュ・インターコンチネンタル(IAH)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09 デンバー・インターナショナル(DEN)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2014-05-06 ソウル・インチョン(ICN)
http://delfin3.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21 香港・チェクラップコク(HKG)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-09-29 アブダビ・インターナショナル(AUH)
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チムサーチョイ(尖沙咀) @Hong Kong [Hong Kong]

-Day 6- 1月30日
朝から熱を出していた。
原因はよくわからない。
NFLのプレイオフ観戦と〆切で根を詰めたせいか、
あるいはLCCの深夜便の疲れが残っていたのか、
昨日、20度近くまで気温が上がり、部屋のエアコンに頼ったのが悪かったのか、
元々、扁桃腺が弱く、すぐに高熱を出すので慣れてはいたが、さすがにおとなしく寝ていることにした。
幸い、昨日の街歩きの帰りに買ったエッグタルトとパンが残っていたので、それらを頬張り、あとはベッドに沈み込んだ。
こういうとき、シングル・ルーム滞在はいいのか悪いのか。
放っておいてほしい状況に静かな環境でひたすら眠りに就けるプライベート・スペースはありがたくもあるが、
このまま悪化して「旅先での客死」なんて想像がムダに膨らんだりする。
ドミトリーならスタッフや他の宿泊客もいて、多少の助けにはなるかもしれないが、
状態が良くないときに他人にかまわれるのはそれ自体が鬱陶しくもあったりもする。
さながら一人暮らしの風邪っぴきの辛さにも似ている。
下がらない熱のまま、「客死」というロマンティックなフレーズに酔いしれながら、眠りに落ちていた。

昨日の午後は懐かしくもある尖沙咀(チムサーチョイ)を歩き回っていた。
重慶マンション(重慶大厦)を中心に多くの観光客が蠢くエリアでは以前と変わらず、客引きが声をかけてくる。
一定の場所に落ち着き、観光客に狙いを定めてくるところはさながら「食虫植物」のよう。
最近はアラブ系が多いのだろうか、そんな感じの彼らが、
「ニセモノぶらんどアルヨ、カンペキなニセモノ~」と分かりやすい日本語で問いかけてくる。
それをサングラス越しに首も動かさず、無視して歩き続けると、
次には韓国語の呼びかけに変わり、それがダメだと中国語、英語、スペイン語・・・とコチラの気を引くまで頑張り続ける。
ある意味、商売上手、仕事熱心、そんな彼らに興味を示して、絡め捕られないようにご注意を。
よくぞ日本人と見破ったな、と褒めてつかわそうかと思ったが、カメラバッグぶら下げていたらそれはバレバレ。
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アジア系の見分け方、謎解きはいたってカンタン、
日本人は小奇麗な服装、キレイな靴を履いているのが特徴、腕時計もお好きなようで。
さらに女性の場合は化粧が完璧、そこにどういうわけか普段かぶらないような奇妙な帽子をかぶってる。
韓国人はバカでかいブランド・ロゴなどの突飛な服装、不釣り合いなサングラスがお定まり、
女性陣は突飛なファッションに加え、アイメイクやルージュの色がかなり強烈だ。
中華系は本土人なら野暮ったさ満載、上下お揃い、ペアルック大好き、女性は圧倒的に化粧が稚拙。
台湾系、香港系はもう少し洗練されていて、実際は会話を聞くまで違いはわからない、という感じ。
こいつは個人的な偏見に基づいた観察記、穿った観察眼なので、ご批判は甘んじて受けまする。

ブランド・ショップにも電器店にも興味を惹かれず、チムサーチョイを後にして、
佐敦(ジョーダン)、続いて油麻地(ヤウマーテイ)と地下鉄路線に沿うように北上を続けた。
歩き続けたせいもあるが、1月だというのに気温は20度近くもあり、すっかり汗ばんで渇いていた。
混み合っていた「豆漿店」に助けを求め、豆乳でノドを癒すことに。
黒蜜が入った豆乳は日本よりも薄い感じで飲みやすくウマイ、小さなアタリを引き当てた気分に。
あいかわらず安上がりな旅人だ。
実のところ、日本の紙パックに入った豆乳は強めの豆臭さがあってちょっとニガテ、
健康を意識してコーヒーに入れて飲んだりしてみたが、やはり豆臭さが気になり、アッサリ止めた。
そんな「豆乳苦手派」なのだが「香港版豆漿」は豆感が薄くて飲みやすい、これなら派閥入りしてもいいかも。

旺角(モンコック)に近づいてきたので、アバウトに路地裏に迷い込んでみると地元の小さな市場を発見。
夕方のこの時刻、西日に照らされたマーケットはさすがにやる気なし、
ホトンドのお店が片付けながらの客さばき、という感じ。(写真4)
主婦のお買い物を眺めながら、通りを流す。
東西に伸びる市場から南北へ伸びる商店街を眺めて歩く。
パン屋さんのおじさんがひときわ忙しそうに働いている。
日本の小洒落たベーカリーと異なり、さえない店先に焼いたものをそのまま並べただけで、
飾り気のないパン屋だが、焼き上がりもそのままの感じが好印象。(写真5)
会社帰りのOLや買い物ついでの主婦が足を止め、その人たちにつられる様にビジネスマンまでが店先を覗いている。
小さな店先は手伝う店員がいないらしく、おじさんは次から次に声をかけてくる客を捌くのに必死で、
軽い気持ちで買おうと思ったこちらの気が引けてしまった。
人の波が去るのを待って、声をかけ、3個で$10、3個で$7のパンをそれぞれ袋に詰めてもらった。
翌日の朝食用に買ったのでこんな個数はいらなかったが、まとめ買いじゃないと割高、といわれ、そのままもらうことに。
この時はまさか熱を出して、病床の糧となるとは思いもしない。
誰も来ることのない部屋でなにげなく買い過ぎたパンがこんな風に役立つとは、ねえ。

目を覚ますと21時を過ぎていた。
まだ熱っぽく、食欲はなかったがこういうときは胃袋になにかをぶちこんだほうがいい。
熱があろうが普通にご飯を食べられる体質がいいのか悪いのか、なにか買いに行かねば、という気になっていた。
熱でギクシャクと軋むカラダに鞭を入れ、なんとか部屋を出る。
1階のエレベーター・ホールにいる警備のオジサンに、
「『豆漿』買えるところない? ワタシねつアルよ」とアヤシイ北京語とジェスチャーで声をかけると店を教えてくれた。
よく冷えた「豆漿」を2つ買い込み、1つを胃袋に落とし込んでふたたび眠りに落ちた。
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ノイヤンガイ(女人街) @Hong Kong [Hong Kong]

-Day 5- 1月29日
タップリ寝過ごしていたらしく、ベッドメイクの声で起こされた。
断りの声をドア越しにかけたはいいが、大声を出したことですっかり目覚めてしまい、
思いをあらため、シャワーを浴びて、確実に目を覚ますことにした。
特に予定のない旅先の朝はキケンだ、甘い睡魔の誘惑に負けるとガッツリ半日をムダにツブしてしまうことになるから。
廊下のウォーター・サーバーの脇にスティックのインスタント・コーヒーが置いてあったので、それを淹れた。
気の利いたカップが用意されているわけではなく、部屋に置かれたグラスを使うしかなかったが、
これにミルクでも落とし込めれば、ポルトガルかクロアチアのカフェと変わりがないのだが、
生憎、新鮮なミルクのサービスはないようだ。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-04-09 『メイヤ・ド・レイテ』=ポルトガルのカフェ・オ・レ

レギュラー・コーヒーならブラックで飲むが、インスタントの場合、ブラックはいただけない。
家で飲む際はそこにミルクをドボドボ入れ、お茶ならぬコーヒーを濁しているわけだが、
出先でインスタントの場合、やむなくパウダーのミルクを入れたりはするが、
脂のニオイがニガテでできることなら白い粉は遠慮したい。
旅先ではスーパーで牛乳パックを買ってくることもあるが、
部屋に冷蔵庫がある場合に限られるし、欧米では量が多すぎるのでやっぱりパウダー・ミルクに頼ることに。
そんな状況でも、「ホワイト」「フレッシュ」といわれる白い液体は論の外、
あれは「ミルクに模した」シロイ油でしかなく、乳成分は一つも含まれていないシロモノ、
こちとらコーヒーに油を注いで飲むほど味覚のシロウトでもない。
機会があったらあいつの成分表をご覧あれ、きっと顔色がシロくなりますから。
今朝は「3in1」の甘ったるいコーヒーが朝食代わり、過度の甘さはコーヒーとは別次元、
コーヒーと思うと残念な気分だが、こういう飲み物だと思えば、悪くはなかったりする。

昨夜は観塘(クントン)から戻り、旺角(モンコック)周辺をあらためて探索した。
日が落ちたころにニギヤカさを増す「女人街(ノイヤンガイ)」に足を運び、店先に並ぶ雑多なものを眺めて歩いた。
買いたいものがあるわけでもないので、手に取るものもなく、
値切り交渉に勤しむわけでもなく、ただ流れるように歩くだけだが。
出店ではなにげなしに品物を手に取ると「購入意思がある」と思われ、店員の猛烈なプッシュに襲われる。
「つい手に取る」「値段を知りたがる」は世界共通で「買いますよ」のサイン&商習慣、
日本人が陥りやすい罠、無意識でやってしまう悪癖ですのでご注意を。
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夜のマーケットをうろつきながら、露店の背後にある食堂やレストランで興味を惹かれる食事を探した。
ところが観光スポットらしく、少しばかり値の張る「セットメニュー」がホトンドで一人ご飯には敷居が高い。
「喰いて~」状態になるものもなかったので、しばらく空腹を抱えたまま、歩き続けた。
こうなったら露店でアレコレ見繕って、部屋に持って帰って食べてもいいな、などと思いながら、宿の近くの出店を眺めた。
すると狭い路地に人が吸い込まれて行ったかと思うと、入れ違いで満腹したのか満足げな人たちが吐き出されて来る。
そんな地元の人の動きが気になり、後に続くと、そこには「魚丸麺」と書かれた半露店のような食堂があった。
「お、いいじゃん、ココ」、琴線に反応したので、夕食の場所をココに定めた。
かねてから旅先のこんなシーンでは「鼻が利く」という特殊能力を発揮するのだが、
悪を倒し、世界を守るための能力としてはちょっと弱いかもしれない。
路地に面したテーブルでは地元の人たちが無言で麺をすすっている。(写真4)
手前の調理場では湯気がもうもうと立ち上がり、手際よく麺を茹で上げている。
壁のメニューは漢字で書かれてはいるので、なにがあるのかはなんとなく掴めたが、
それよりもほかの客が食べているモノのほうが参考になりそうだった。

「ん!」という感じで言葉も発しない店のオヤジサンの特殊能力に促され、空いている席に腰かけた。
「ワンタンミン(雲呑麺)!!」と意味なく元気よく伝えると、
「OK」とシンプルな返しが。
素気ないが必要ない愛想をムダに振りまく鬱陶しい接客よりは気分がよかった。
地元の客しかいない店では誰もが手際よく麺をかき込んでは手際よくお金を払って去っていく。
時折、持ち帰りの客がやって来ては注文を入れ、これまた手際よく「打包」された器を持って帰っていく。
吹きさらしのとてもキレイとはいいがたい店だったが、こうして地元の人の動きを見ていることが楽しい。
少し小ぶりな器でやって来た「ワンタンミン」は細めの中華麺がプチプチと硬い食感、
主役のワンタンは少し大ぶりで口の中を埋めつくすような食べごたえがあった。
「あ、ダメだ、コレ、何杯でも食えるぞ、コレ」
ワンタンミン$28、地元の人と肩を並べ、すする麺の味は格別だ。
「多少銭? (ター・シャオ・シェン=いくら?)」
「アー・スー・パー(=二十八)」
地元の人のように手際よく食べ、手際よくお金を払ったつもりだが、値段を聞いている時点で手際よくはないんだよ、きっと。

朝食を買い損ねたのは、その後も夜の街を歩き続け、気がつくとスーパーが閉まっている時間になっていたからだ。
朝食代わりの甘いコーヒーを飲み干し、出かけることにした。
ホテルを出てすぐのところにある出店のニオイに捕まってしまった。
「魚丸(魚のツミレ)」で早速、燃料補給、「朝食代わり」はドコに行ったのだ?
どんなときもどんなところでも朝から胃袋になにか入れないと動く気になれない性質、イヤ、ただ卑しいだけか。
なので、ツアコン時代はホテルの朝食をゆっくり食べるのが至福の時間、
昼食、夕食はお客さんと一緒のテーブルだったしね。
カレーオデンのような、辛めの味噌おでんのような、スパイシーな味付けがおもしろい。(写真1)
これって、おそらくマカオで流行っていたおでん屋さんがそのまま香港に伝わってきた感じだよな。
串にかじりつきながら、旺角をまっすぐ南下、チムサーチョイを目指した。
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スイフー・チーチーシ(瑞和街街市) @Hong Kong [Hong Kong]

地元飯のランチが終わり、彼女はオフィスに戻って行った。
別れ際に『ウェット・マーケット』(=生鮮市場)の場所を教えてもらい、観塘の駅の反対側を目指した。
わざわざ「ウェット」をつけるのは「スーパー・マーケット」や「問屋街」との区別かな。
アジアでは「市場」をこう呼び、ヨーロッパでは「フレッシュ・マーケット」や「オープン・マーケット」などと呼ぶ。
ショッピング・モールやオフィス・ビルが陣取っている南側とは異なり、
北側は公団のアパートやコンドミニアムが肩を並べる住宅エリアのようだ。
これまた蛇足だが「マンション」は日本語、英語だと「豪邸」を意味する語になるので、
集合住宅は通常「アパートメント」と呼び、分譲など豪勢なものは「コンドミニアム」と呼ばれる。

住宅街に沿うように商店街が伸び、その裏手に生鮮品や食料品を扱う小売店が軒を連ねている。
「市場」というよりも昔ながらの八百屋や精肉屋、鮮魚店が肩を並べたごった煮的な商店街っぽく、
生活感丸出しで、一気に雑然とした感じに包まれた。
一応「市場」(写真4)を中心に小売店は広がっているようで、いわゆる「場外」の店の方がエネルギッシュな様子。
整然とした南側と比べ、客層が一気に年齢を重ねた感じに。
オシャレな飲み物片手のOLや流行りものを手にした女子学生の姿はすっかり消えてしまった。

ああ、それにしても「市場」というのはどうしてこう胸が躍るのだろう。
ニオイ、ノイズ、色合い、売り子の声、人熱れ・・・、一瞬でも生活を垣間見た気になれるからだろうか。
グダグダ語るよりも、あとは画像の説得力におまかせ。

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「街街市」と書かれた市場の中はさらにディープな感じ。

中華系の方は「肉」そのものを見て買うのがお好み、「パック詰め」のものをあまり良しとはしない。

店先にはできたてのお惣菜も並ぶ、夕食のおかずに、あるいは小腹対策の一品かな。

「干したものはなんでも旨くなる」、中華四千年の知恵でござい。
瑞和街街市
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クントン(観塘) @Hong Kong [Hong Kong]

13時過ぎにMTRでランチに向かった。
地下鉄に乗ってランチ、とはいささかヘンなハナシだが、
昨日の雑談のなか、「オフィスのそばに『ウェット・マーケット』がある」というハナシが出て、
「じゃあ、そこで地元ご飯!」ということで、見知らぬ「観塘」(=クントン)という駅を目指すことになった。
地下鉄を乗り継ぎ、観塘線にある観塘駅に降り立つと、思っていた以上にニギヤカだ。
改札口はショッピング・モールに直結していて、人の往来が激しい。
あとで調べてわかったことだが、この「観塘」というエリアはかつての空の玄関口「啓徳空港」に隣接する街らしい。
空港が閉鎖され、街は廃れ、地下鉄路線ができたことで再開発された急成長の街に生まれ変わったようだ。
ということは啓徳空港閉鎖前に降り立ったことがあるので、訪問歴ありということになるが、
当時の空の玄関口の面影はまったくなかった。

香港でもシンガポールと同じように今まで街の外郭に路線ができていくと、
駅が造られ、大きなショッピング・モールが併設され、周辺が一気に活気づいていく。
樹木が根を張るように地下鉄路線が四方八方に伸び、拠点ごとに商業施設が覆い茂り、人を集めていく。
小さな中心部が膨張していき、かつての「街の外側」が「街の一部」になっていくわけだ。
香港にしろ、シンガにしろ、バンコクにしろ、昨今のアジアの都市はこのパターンで膨張を遂げている。
キッチリ時間に遅れてやって来た、香港人相手の待ち合わせはある意味、予定通りだ。
こちらは時間に縛りのない旅行者、あちらは仕事を片付けての参上、そこに文句をいうのはお門違いだろ?
「ナニ食べたい?」
「チーファン(鶏飯)か、チャーシューファン(焼豚飯)かな」
「OK、まかせて」

キレイなローカル・ブランドが立ち並ぶショッピング・モールを降り、混み合ったローカル・ビルへ入り込んでいく。
古びたビルの一階、人の行き来が激しい階段脇でご飯屋さんが数軒営業している。
ご存知、おかずを選んでご飯にかけてもらう「ぶっかけ飯屋」、麺類の店、そして肉類を扱う店が並んでいた。
遅めのランチタイムだったが、店先に無造作に並べられたテーブルはホトンドが埋まっていた。
ビジネスマンのグループが立ち上がったテーブルにすかさず座り、席を確保。
「メニュー、もらう?」
「いらないよ、さっき言ったのでいいよん」
「あ、でもここ種類多いんだ。チキン、ダック、チャーシュー・ライス・・・、あとチキンは部位でも選べるし」
「それ、シンガポールと一緒だからあ、ははは。でも見てみるかな」
店のおばちゃんが気を使って持ってきてくれたメニューを見ると「ハーフ&ハーフ」なんてものまである。
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「なに? この『ハーフ&ハーフ』って?」
「チャーシューとチキンが半々、ダックとチキンでもできるわよ」
勘定書き片手にオーダーを待つおばちゃんがそう答えながら、今度は問いかけてきた。
「あなた、ナニ人?」
「いーぷんれん(=日本人)ダケド??」
「あら北京語、上手ね」
「いーてんてん(一点点=少し)デス。広東語はワカリマセン(我不問広東語)」
他愛のない会話でイジられながらオーダーを決める。

観光地では鬱陶しがられるだけだが、地元エリアだとカタコトでも会話を交わすと地元の人たちは和んでくれる。
旅先ではしゃべれなくてもこんな感じのヤリトリが楽しい。
「アイサツ」や「お礼」、「これはなんですか?」ぐらいなら覚えておいて損はない。
余裕と語学欲があるならば、現地語で数字まで覚えられれば、会話の幅はぐっと広がる。
なにせ「How Much?」に代表される「いくらですか?」は「会話本」の落とし穴、
フランス語にしてもトルコ語にしても現地語で「いくら?」と聞けば、現地語の数字返されるのがオチですから。
数字のヒアリングができていなければ、痛い目に合うのはコチラ、お金で痛い目には遭いたくはない。
それに引き換え「これはナニ?」なら傷を負うことがない。
教えてもらったものをそのままオウム返しすれば、現地語での交流になるし、 語嚢も増えていく。
「お水ください」と英語で言うよりも現地の言葉を発したほうが感じいいことは確実ですね。
発音がおかしければ地元の人にイジられたり、笑われたりとその場の会話が増えていく、これは元ツアコンの経験則。
数字やアイサツだけなら10ヶ国語以上はイケますけどね、女性を口説くのにはなんの役にも立ちませぬ。
チキンとチャーシューの『ハーフ&ハーフ』、それと『ダック・ライス』がやって来た。(写真5)
慣れ親しんだ味だったが、脇には見慣れない薬味が添えられていた。
ネギとニンニクの刻んだものを和えたものだが、こいつがうまかった、これだけでご飯がご飯がススムくん。
「こっちのダック、食べてみる?」

そういってくれた連れのロースト・ダックとこちらのチャーシューを物々交換、
『ハーフ&ハーフ +1』になったぜ、とくだらないジョークを言いながら、ダックを頬張ると悲しい事態に陥った。
なんてことだ、この店はダックのほうがうまいじゃないか。
「なんだよ、チキンよりダックのほうがおいしいじゃん。あ、だからいつものようにダックにしたのか、くそお。
それにしてもこの付け合わせ、おいしいね、初めて食べたよ」
「もっともらってあげようか? おばちゃーん、これ、もっとちょうだ~い」
昼時の波が去り、店先でおしゃべりに興じていたおばちゃんに手を振った。
観塘駅
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モンコック(旺角) @Hong Kong [Hong Kong]

-Day 4- 1月28日
朝から蒸し暑かった、1月だというのに蒸し暑いのだ。
昨日と同じように買い置きのパンとウォーター・サーバーのお湯でコーヒーを淹れ、軽めの朝食を済ませた。
結局、マカオ行きの気力も意欲も湧いてくることはなく、九龍サイドに居場所を変えることに決めた。
チェックアウトの時間までコーヒーを淹れ直し、ただ読書にふける。
旅先のホテルのベッドで本を読む時間というのは甘美なひとときでしかない。
11時にチェックアウトし、地下鉄で旺角(モンコック)を目指した。

昨夜は飲茶の後、ホステル・コリアのリピーターでもあるもう一人が合流することになり、
3人でマンゴ・プリンで有名な『許留山』に流れ込み、食後のデザートをつつき合いながら、近況報告大会。(写真1)
重ねて韓国の想い出話の盛り上がりに調子に乗って、性質の悪いことにスカイプのビデオ通話で、
ソウルで仕事中のホステル・スタッフにちょっかいを出したりして、客の少ない店内で盛り上がった。
その後は夜だというのに本が読めるほど明るいモンコックの通りをおしゃべりしながらブラついた。(写真2)
後から加わった彼女はたまたま今日の仕事が片付かず、有名店の飲茶に合流できなかったことを終始悔しがっていた。
飲茶の代わりに屋台のイカ焼きやオデン風のツミレ串などを頬張りながら、
終わらなかった仕事と逃した點心の憂さを晴らすかのように明るい通りで声を張り上げて歩く。
やっていることは新橋の酔っ払いサラリーマンと変わらないのだが、あいにくと酒は飲んでいない。
食べることが好きな香港人らしくもあり、アルコールなしでも盛り上がれるアジア人っぽくて、気楽なひと時だった。
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旺角駅を降り、記憶に焼き付けたWebの地図をイメージしながら、次のホテルを目指していた。
すると昨夜、イカ焼きを買った店にぶち当たる、「あれ?昨日来たところじゃん」そう思いながら、
通りを手繰るとそのすぐ裏手に目指すホテルの名があった。
スマホがない身としてはホテル探しは手間がかかるのだが、いい意味で拍子抜けの一瞬。
古びたエレベータ―・ホールには漢字で「旅荘」や「賓館」といった漢字を抱いたプレートが連なっていた。
フロアを確認し、上階へ昇るとどうやらそれぞれが一角を間借りして、ホテルや旅館営業しているようだ。
各々の宿の前の廊下には真っ白なシーツや枕カバーが遠慮なしに干されている。
『Jinhai Hotel』のプレートが貼られたドアは開け放たれていて、中でおばちゃんが掃除をしていた。
『ジンハイ』は漢字で書くと「金港」、漢字で意味を掴むと急に身近な感じがしてくる。

「チェックイン、いいですか?」
そう尋ねたものの、おばちゃんは英語がわからないらしい。
壁掛けの電話を示すと、「かけて」と身振りで示してきた。
宿にはフロントらしいものはなく、奥への廊下沿いに部屋が並ぶだけで、スタッフらしい人物もいないのだ。
おばちゃんに促され、いわれた番号に電話をかけると訛りの強い英語で答えが返ってきた。
こちらの予約番号を告げるとそれでチェックイン完了、これまた拍子抜けだ。
電話の向こうの人に事情のわかってないおばちゃんに説明してもらうよう告げ、電話をかわった。
「2」番という部屋を割り当てられたので荷物を運びこむと、
おばちゃんがキレイなタオルをセットしながら、「掃除は終わっているわよ」ということを身振りで教えてくれる。
その背に「ン・コイ」(広東語で「ありがとう」)と告げると、おばちゃんは驚いた顔を見せた。

他にフロアがあるのかもしれないが、ここには4室が並ぶだけだ。
入口のドアから右手にシングルx2、ツインx2と部屋が連なっていて、小さな廊下にはウォーター・サーバーがある。
2番目の部屋を割り当てられたので窓ナシ部屋確定、これも香港の安宿らしい造りでオドロキはない。
おそらく窓があるのは外に面した4番目の部屋だけだろう、
なにせ「窓アリ」の部屋は少し高くなっていたりするのが「安宿ルール」だ。
この宿にしたのはベッドがセミダブルという点だった、一応2名滞在可能な部屋らしいが、
ふたりで泊まったら荷物を広げるようなスペースはなし、シャワー・ルームにでも置くしかないぞ。
リニューアル間もないという情報もあったので、窓ナシ部屋でも耐えられるかな、という読みもあった。
意外にも「窓がない部屋」というのは壁からの圧迫があり、「耐えきれない感」がすごかったりする、
これは体験した者じゃないとわからない香港の安宿ならではの「落とし穴」だ。
刑務所だって小さい窓があるじゃないか、入ったことないけど。
そこ以上の「圧迫感」に対抗するため、せめて部屋や内装が新しければ、との目論見なんだけどね。

ロケーションの良さで選んだこともあったが、実際に泊まってみると抜群の位置取りだった。
地下鉄の駅にも近く、モンコックの中通りから一本裏手、反対側に抜ければ「女人街」のマーケット、
という感じで、もうコンビニに出かける感覚で街をうろつけてしまえるロケーションなのだ。
小腹がすいたら隣りは小食(スナック)の出店もあるのだよ。(写真5)
ちなみに一泊5,800円ほど(宿泊税込み)、安宿にしては高い金額、
とはいえ、昨今の香港のシングル・ルームはこれぐらいが相場だ。
もはやアジアの中ではやはりちょっと高めだが、ドミトリーでも3,000円近くかかるので
ロケーションを考えたら高くはないかな、窓ないけど。
帰国までの残り3泊はここに滞在することを決めてしまった、頭の中から「マカオ」の文字は消えていた。
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プリンス・エドワード(太子) @Hong Kong [Hong Kong]

夕食の約束をしていたため、MTR(地下鉄)で九龍(カオルン)サイドへ向かった。
「Prince Edward」駅を目指す、この駅、漢字表記は「太子」、それって略し過ぎ、エドワードはどこへ?
香港の地下鉄は色分けはモチロン、駅名や路線が漢字表記なので、意味はわからなくても覚えやすい、
これは日本人にとってはちょっとしたアドバンテージ。
Island Line(港島線)からTsuen Wan Line(荃湾線)へ乗り換える「Admiralty(金鐘)」駅は、
帰宅ラッシュで混んでいて、容赦ない人混みに大いに気後れする。(写真2)
なにせ家路を急ぐ人たちにとって、不慣れな旅行者はジャマな存在でしかない。
ラッシュアワーにキャスター・バッグなんぞ引きずっていた日にゃあ、殺意を抱かれても文句は言えない。

約束の相手はソウルのホステル・コリアで働いていた元スタッフ、
数か月前の秋口にワーキング・ホリデイを終えて、香港に戻っていた。
ソウルは香港や台湾の人のワーキング・ホリデイ先としては人気が高い。
ホステルの仕事は安定していて融通が利くので、ほぼ一年間働き続ける人がホトンドで、
「毎月ソウル」のコチラとは必然、顔馴染みになっていった。
というか宿でくつろぎまくっていたので、キッチンや近所でご飯をともにすることも多く、
いつも居るヘンなニホンジン、あるいは厄介な常連、とリマークされていたかもしれない。
それでも彼らが国に帰る段には「今度は自分の国に遊びに来るように」と促されるのが常だった。
彼らの言葉は社交辞令ではなく、実際に日本に訪ねてくるヤツがいたり、
韓国人スタッフなどが彼らの国を訪れるのも当然のようになっていたが、こちらが訪れる機会はまだなかった。
今回、HK Expressのプロモーション・チケットを夏の時点でおさえていたので、
帰国が見えていた香港人に「旧正月前に行くからね」とソウルの定宿で伝えておいてはいた。
「なにかリクエストある?」と問いかけられたが、初めての香港でもないので、
「ディムサム(点心=広東語)を一緒に」とだけ、注文しておいた、なにせ飲茶は一人ではどうにもならない。

案の定、待ち合わせの相手は15分ほど遅れてやって来た、香港人としては妥当だ。
「ゴメン、遅れた~。それにしてもホントに来てくれたんだね~」
久しぶりに顔を合わせるとそんな風にお道化られた。
「ダイジョウブ、そっちは香港人でこっちは日本人だから時間は気にしてない、香港人にしては上出来だよ。
それと生憎日本人なんだけど社交辞令はいわない性質なんだ、『行く』といったらホントに『行く』のさ」
「シンプルでわかりやすくていいね。じゃあ、飲茶に行こう! 少し歩くけどダイジョウブ?」
久々の再会で少し興奮した感じになり、英語から韓国語、広東語を織り交ぜ、
いつものようにバカ話をしながら、近況報告を混ぜ、店を目指した。
ソウルで知り合った香港人と日本人が香港でご飯を食べる、なんていうのはなかなかオモシロイ。
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2ブロックほど歩いたところに店はあった、「一點心」という店名。
「ここ、有名みたい。行列ものの店らしいけどどれぐらい待つか聞いてくるわ」
そういって混雑する店の中に割って入って行くと、しばらくして紙切れを手に出てきた。
「3~4組待っているみたい。それまでどこかをブラつこうか」
店の前に行列がなかったので、すぐに席に着けるのかと思ったが、
どうやら整理券だか番号だかが配られていて、席待ちの客はどこかに散っていて、「見えない行列」が存在するらしい。
他の客と同じように近所をブラつき、飲み物片手に時間をツブしていると、
彼女の携帯が鳴り、店に呼び出され、舞い戻ると席が用意されていた。
「思ったより待たなかったね。お気に入りの店なの? 『有名みたい』って言ってたけど?」
メニューを広げながらそう尋ねる。
「いや、口コミサイトで人気の店で『一點心』がでてきたの。美味しい店を案内したかったから」
「なあんだ、そんなスペシャルじゃなくてもよかったのに。まさか初めて来たの?」
「へへへへへ」

「飲茶」とだけ伝えていたので、ちょっと困らせてしまったかな、とも思っていた。
いわゆる「飲茶」は通常、午後、あるいは昼下がりだけの営業がホトンドだ、
昼間働いている人たちとはタイミングが合わないので、こちらが店を探しておこうか、とも告げていた。
自分の国にやって来たからには案内したかったのだろう、「探しておくから」というメールが力強かった。
先の事情から「夕食だからムリに『飲茶』じゃなくてもいいから」とは伝えおいたが、
夜営業の飲茶店を探し出してくれたらしい、重ねて安くて美味しい店を。
互いに気になるものをメニューの端から注文すると、
間髪入れず蒸篭がやってきてはテーブルを埋めていく、それらを次々やっつけてはいくのだが、
腸粉(チョンファン=広東語・写真1)やシュウマイは3つ4つやってくるので、2人では頼みすぎたことに後から気づいた。
「どうする、喰いきれないぜ?」
「楽しくて頼みすぎちゃったね。飲茶っていつも頼みすぎちゃうのよね」
狭いテーブルにはシューマイや手つかずのマントー(饅頭)が数個残っていた。

「ターパオ(打包)できるかな?」
「ダイジョウブ、ここは香港よ。でもなんでそんな言葉知ってるの? あ、シンガポールで覚えたのか」
「じゃあ、冷えたらマズくなるやつだけ胃袋で『打包』しよう。
ああ、でも『腸粉』は明日も食べたい! けど持って帰れない! くそお」
「それはいい考え! まだ甘いのも来るし」(写真5)
「『ターパオ・じゅせよ~』 って『じゅせよ~』じゃ通じないか」
ふざけてそういうと、店の人が手際よく饅頭を折りに入れてくれた。
一點心
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セントラル(中環) @Hong Kong [Hong Kong]

-Day 2- 1月27日
朝から曇っていたが、気温は昨日と変わらなかった。
結局、昨日はサンラーフンに痺れ、マンゴ・サゴに癒され、
その後はスーパーで朝食用のパンとスナック、旅先の必須品「グアバ・ジュース」を買っただけで部屋に戻った。
それにしてもリッターの紙パック入り「グアバ・ジュース」はなんで日本で売られてないのだろう。
帰り着いた部屋でシャワーを浴びるとそのまま寝つぶれてしまい、夕食も摂らずに朝を迎えていた。
深夜便のハンデがキツかったのか、あるいはただのおつかれオジイチャンなのかもしれない。
ウォーター・サーバーからお湯をもらい、持参したコーヒーと昨夜買ったパンでカンタンな朝食を済ませた。
7日間の行程だが実質、現地には5泊、出発前にはここコーズウェイベイで初日だけホテルをおさえ、
その後の日程はマカオにでも流れ、のんびりするのも悪くないな、と考えていた。
ところが深夜便の疲れと年明けの仕事の疲れを引きずり過ぎていたのか、マカオに行く気が起きない。
移動することがどうにも億劫に感じられていた。

かつてのマカオは香港と同じ値段を出せば、より質のいいホテルに泊まることができた。
ターボジェットとミドルクラスのホテルがパッケージになったものがフェリー乗り場の代理店でゴロゴロして、
ホテルのキャンペーンものでも見つければ、広々とした部屋に破格で滞在ができた。
格安航空券で香港に降り立ち、その後、マカオに転がり込むとちょっといい滞在ができたのだ、
それもすでにラスベガスの倍の売り上げる「世界一のカジノの街」に変貌したことと、
中国への返還ですっかり様変わりしてしまっていたのが残念でもあった。
香港は一時期、ホテル代が急騰し、オンボロ安宿ですら平気で4~5千円を取るようになっていた。
気軽に旅する国としての魅力は失われ、バックパッカーが経由する街ではなくなっていった。
このところホテル価格は少し落ちつきを取り戻したようだが、今度は大陸からの流入が別の波を作っていた。
安宿の定番、廉価なドミトリーが人気を占め、新しくて清潔そうなドミはすべてソールドアウトに。
そのため、今回は旧正月前のオフ・シーズンだというのにめぼしいドミは埋まっていて、
やむなくシングル・ルームをブッキングしたわけ。
そんなホテル事情がマカオにも及んでいて、値は上がってしまったため、わざわざ訪れることが少し億劫になっていた。
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「明日の部屋、空いてますか?」
「同じ部屋? それなら空いているよ」
オーナーのその言葉でもう一日、延泊を決めた。
彼の話によるとここは一ヶ月前にオープンしたばかりらしい、新しいのを狙っては来たが、まさか一ヶ月とは。
ソウルの常宿と変わらないような2畳程度のシングル・ルームだが、
ベッドが腰高でその下にバゲージを潜り込ませられるので部屋を広く使うことができる。
狭いながらもシャワー・ルームが備わり、共同シャワーを嫌う日本人でも快適に滞在できるかな。
そうそう、狭い安宿では百均で売られている「S字フック」が便利です、狭い空間を生かせますからね。
ちなみにこのホテル、この当時はシングル一泊+宿泊税で5,200円ほど、これが香港の安宿の現状。
ここコーズウェイベイに2泊の後、気が乗ればフェリーでマカオへ行くか、
そうならなければ尖沙咀 (チムサーチョイ)辺りに河岸を変えてもいい。
ひとまず今宵の居場所が定まったので、出かけることにした。

香港島を東から西へ、地下鉄路線に沿うように街を歩いた。
まずは昨年秋、「雨傘革命」と呼ばれた反政府デモで荒れた「中環(セントラル)」まで歩いてみた。
少しばかり影響が残っていて、通りや打ち壊しがあった場所などに立ち入り禁止のテープが残されている。
『オキュパイ・セントラル(中環を占拠しよう)』と叫ばれたあの時の熱量はすでに失われ、「祭りのあと」だが、
それでも事件や事象が起きた場所を訪ね、実際に歩いてみないことには感じられないことはいくつもあるはずだ。
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2010-08-27 反政府デモ@バンコク
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2010-08-10 ワールドカップ@ソウル・市庁

ニュース映像を思い出しながら、カフェテリア形式のファスト・フード店に入った。
このところこの手のカフェテリアが香港で増殖しているらしく、各所で色鮮やかなカンバンが眼に飛び込んでくる。
レジでコーヒーとフレンチ・トースト、HK$20を頼み、焼き上がりを待ってトレイに乗せ、広い客席に着いた。
店内はファスト・フード風の造りなのだが、メニューにはワンタン麺とかチャーシュー飯が並んでいて、
奥の席ではご老人のグループが中国茶を飲んでいる、香港らしいなんでもアリのお店のようだ。
飲み物や食事の値段がシンガポールより高いのでちょっと戸惑いをおぼえた。
かつては香港のほうがシンガポールよりも物価安だったはずだが、そのナゾは旅の後半で解き明かされていくことに。
ビジネスマンが多いコーズウェイベイはおしゃれなBARや異国の料理を提供するレストランも多い。
スポーツバーの宣伝だろう「SUPERBOWL」のカンバンを見つけ、(写真5)
あらためてこのエリアに欧米系が多いことを認識した、おそらく香港人はアメリカン・フットボールは観ないよね。

NFLは年明けから4週間にわたるプレイオフが終わり、2月上旬のSUPERBOWLまで2週間の休息期間だ。
俗に「SUPERWBOWL WEEK」と言われるこの期間、
こちらもポストシーズン11試合すべてを観終えると旅に出るのがいつもの習わし、それが今年は香港になった。
質の高いポストシーズンの闘いでシビレた頭の中を整理するのには旅先のからっぽの時間がちょうどいい。
いつものように見知らぬ通りを歩きながら、いろいろな思い、考え、妄想、思索、想像が湧いては消えていく。
思い出したように時折、カメラを取り出し、風景を切り取ってみる。
あてもなく、目的もなく、もう少し歩いてみようか、もうやめようか。
いっそ「上環」のフェリー・ターミナルまで歩いてみるか、少しはマカオへ気持ちが傾くかもしれない。
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コーズウェイベイ(銅鑼湾) @Hong Kong [Hong Kong]

制限区域のベンチで足を延ばした状態で横になったせいか、気づけばたっぷり寝入っていた。
フライト到着の足で予約したホテルのある香港島に向かっても部屋に入れるわけではなく、行き場を失うだけ。
そのため入国はせずに、少なくとも市内よりは安全と安心が保たれている制限区域で横になることを決めていた。
LCC深夜便の寝不足をベンチで補うのは悪い作戦ではないはずだ。
どこでも寝られる特技がいいのか悪いのか、少しばかり寝過ぎ、時計が9時を指そうかという時刻に起き出し、顔を洗って体勢を立て直し、入国審査を済ませ、到着ロビーへ出た、これでようやく香港到着。
まずは市内へのバス代が必要なので、US$10だけを両替すると手元にHKドルで$73がやってきた。
(香港$1≒15円ほど。1,000円が$67ほどの計算)
異国への旅はまず「現地通貨を持っていない」という強烈な不安感に襲われることからはじまるのだが、
まずはこれでひと安心、ドコへでも行けるし、コーヒーも飲めるし、空腹にも困ることはなくなった。

「USドル」を持ってきていたのは個人的な事情から。
円高時に蓄えたドルをバルカン半島で使っていったが、それが余ったので持って来ていただけだ。
かつては「円」を「米ドル」に替えてから旅立つほうが便利、といわれたが、
昨今はよほどの途上国でない限り、「円」はそのままで現地に出向いてから両替したほうがいい。
ただし「USドル」と「ユーロ」は例外で日本の銀行であらかじめ両替してしまったほうがお得。
それ以外の通貨は 良い>市内両替所>現地空港>ホテル>悪い の順でレートが変わるので、
到着時は空港からの足代とその日の飯代程度に済ませておいた方がお得ですよん、これはどこの国も共通パターン。
香港国際空港から市内へのバスはどの路線も$40ほどで行くことができる。
香港島、それもコーズウェイベイ(銅鑼湾)を目指すバスの番号を探し出し、乗り込んだ。
ただしこいつはリピーターや安上がりに行きたい方向け、迷いたくない方、時間を無駄にしたくない方は、
この沖の島の空港ができた際に並行して造られた「エアポート・エクスプレス(AEL)」がオススメですぜ。
早くて便利ですが片道$100と高いので「往復割引」などを上手に使うとお得ですよん。
http://www.hongkongnavi.com/special/5033465 (香港ナビ)
乗客の少ないバスは1時間ほどで香港島サイドに到着し、「上環」、「中環」と通過していく。
ビジネスビルと有名ブランド店が軒を連ねる大通りを走り抜けたあたりで、適当にブザーを押した。
すでにオフィス・アワーがはじまっている時刻、
ビジネスマンや制服姿の女性、買い物客が行き交う煩雑なコーズウェイベイの路地をキャスターバッグを引きずり歩いた。
外気は1月だというのに暖かい、Gジャンだけの薄着で来たのは正解、これが香港の冬。

ネットで予約しておいたホテルはすぐに見つかった。
アドレスの場所にあったのは香港らしい細長いオフィス・ビルで、集合郵便受けにホテルの名前を見い出した。
どうやらこのビルのワン・フロアで「ホテル」営業しているようだ。
小さいエレベーターで上がり、開いた扉を出るとその前に小さなフロントのカウンターが置かれていた。
「ネットでブッキングした者ですけど」
リファレンス番号(予約番号)を伝えるとオーナーらしき男性が流暢な英語で受け答えしてくれた。
「いらっしゃい。あ、日本の人ですね。部屋、入れるけどどうします?」
「え? もう入れるんですか?」
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時計は10時を回ったばかり、どうやら頼んでいたシングル・ルームの客が早朝出発で出て行ったらしく、
早めに掃除を終え、すでにベッド・メイキングも済んているらしい。(写真2・3)
チェックイン前にフロントにバゲージを預け、コーヒー・ショップにでも行くつもりでいたので、
いい意味で肩透かしを食らった形、こいつはラッキーだった。
「掃除も終わっているし、横になってもかまわないですよ」
「うわ、うれしいな。じゃあ、入りますね」
そう答えると彼は手際よくカギのかけ方や入口のセキュリティ・ナンバー、部屋の使い方を教えてくれた。
ワン・フロアを貸切ったホテル営業、といっても4~5部屋のみ、改装したばかり内装はどこも明るく清潔な感じだ。
英語が通じることがありがたかった。
香港でお馴染みの「重慶マンション」辺りの安宿は年配夫婦が経営していることが多く、
英語がカタコト、あるいはしゃべれる人が限られていたりする。
古くから元英国領ながら、市中ではあまり英語が通じず、広東語の割合が大きいのが「単一民族」の香港、
同じく元英国領ながら、英語が公用語のひとつでもあり、「多民族」のシンガポールと大きく異なる点だ。
律儀に仕事をこなすオーナーにスーパー・マーケットの場所を聞き、荷物を放り込んだだけですぐに出かけた。

いつものルーティーンといったら聞こえはいいが、まずはその国に着いたらその国のものを取り込みたい。
ナニカを食べるか飲むかして、その国のものをカラダに取り入れるとやっとその国に来た気がする。
あわせて今回はLCCでの渡航、出発前の羽田で夜食を詰め込みはしたが、
機内はモチロン、到着の空港以降もなにも食べずに過ごしていたので、おなかも気分もたっぷり目減りしていた。
満腹に至ると強烈な睡魔に襲われそうな気がしたが、ナニカ食べないことにはナニモはじまらない気分だった。
喧騒に包まれたコーズウェイベイの通りを歩き、記憶にある風景と重ね合わせながら、脳内データをアップデート、
同時に香港に来たのはいつ以来だろうか、と過去データを脳内検索していた。
九龍自体は2011年に立ち寄っているが、香港島サイドはかなり久しぶり、
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2011-01-19 (中国からターボジェットで空港入りできず、香港立ち寄り)
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-05-24 (2005年 香港・マカオの旅)
見覚えのある「そごう」の裏手で気の利いた店を探した。
「傷心酸辣粉」の文字に引かれ、早めのランチであろうビジネスマンとともに複合ビルのエレベーターに乗る。
小さなエレベーターから吐き出されるとすでに店内に踏み込んだ状態になっていた。
促されるまま、テーブル席に着き、急かされるように注文をする。
http://www.sad-superhot.com.tw/ (傷心酸辣粉HP)
テーブルに置かれたドンブリ、辛そうな色合いのスープの中には想像していた「麺」とは異なる麺が入っていた。
ハルサメというには太く、シラタキというには軟らかい、フシギな透き通った麺だ。(写真4)
一口頬張ると、「サンラーメン」というよりも「タンタンメン」のような肉と辛みが一体になった味が広がった。
辛さは大したことがないが、次第に口の中がホワジャオ(花椒)の影響でシビれていくのがわかる。
味よりも刺激が強烈、「ヘンなクスリでも入ってるんじゃないの?」という感じが口の中を覆う、
次第にそれがクセになり、麺を食べる手が止まらなくなっていた、「カナシミのサンラーフン」というワケね。
麺を食べながら、このシビレ薬汁の中に白いご飯をブチ込みたい衝動に駆られていた。
お金を払い、店を出て、通りを歩いてもしばらくは口の中はシビれたままだった。

いつものように路地裏に入り込み、歩き続けていると、ジュースの出店があった。
お気に入りのスイカ・ジュースが目に留まったが、値段が同じ$8という貧乏くさい理由で、マンゴ・サゴに寝返る。
「サゴ」はタピオカの小さな粒、マンゴ・シェイクにそれが入った飲み物はシンガポールでもお馴染みだ。(写真1)
ツブツブのサゴを流し込んでも、口の中はまだシビれていた。
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Fly to HKG @Hong Kong [Hong Kong]

-Day 1- 1月26日
1:10のフライトに合わせ、22時過ぎの赤い電車に乗り込んだ。
この時点では25日の夜、神奈川の南から都心を目指す日曜夜の上り電車はさすがにガラ空きだ。
羽田空港が早朝深夜の発着枠を広げることになり、
そこにLCCの「HK Express」が新就航を決めた。
そうなると「就航記念」のプロモーション・チケットが売り出されるわけで、
こちらはまんまとそのエサに飛びつく形に。
空港使用料を入れた21,000円チョットという金額で下記のフライトをゲット。
26,JAN.2015 UO623 HND 01:10/HKG 05:25
31,JAN.2015 UO622 HKG 19:10/HND 00:05+1
7月の時点で2015年の動き出しは「香港」と決まっていた。
深夜の羽田空港に到着すると新就航だというのになんの飾りもバナーも謳い文句もない。
まあ元々就航していて、早朝枠を増便しただけなのでそんなものかな。
あるいはLCCの徹底した節約ぶりか、あるいは香港人の無頓着なのかはわからない。
オンライン・チェックインはできず、自動チェックイン・マシンも置かれていない。
いつものように預け荷物ナシのキャスター・バッグだけなので、
チェックインは手短に終わらせたいのだが、そうはいかないらしく、
チェックイン・カウンターの行列に並ばざるを得なかった。
(注;2016年7月現在オンライン・チェックインは可能に)

「手荷物も計らせていただけますか?」
カウンターの若い女性係員は杓子定規にそう告げてきた。
(手荷物の重さも計るのかよ?)
そう思いはしたが口に出さないでおき、
無言でラップトップPCの入ったキャスター・バッグをカウンター脇のベルト・コンベアの上に置いた。
替えのシャツ数枚にパンツが数枚、文庫本5冊だけが重さを占めているスカスカの手荷物、
メーターは計るのもバカらしいような一桁の数字を示していた。
「手荷物も計るんですか? 他のLCCとは違うんですね」
その数字を見ながら、やはり口に出さずにはいられず、少し皮肉交じりにそう呟いてみせた。
「はい。手荷物は7kgまでと決められているので」
カウンターの女性は能面のような表情のまま、正義の盾で防ぐかのようにそう答えた。
空港で受付をしてくれる職員は通常「グランド・ホステス」などと呼ばれ、
大手航空会社だと航空会社の地上担当職員が受け持つことが多いが、
他国の乗り入れ航空会社や小さな航空会社の場合、業務委託していることがほとんどだ。
その航空会社の制服を着て、カウンターで仕事をしているが、実態は契約社員、派遣、委託などが多く、
カウンター業務のプロではあるが、実情はその会社の内情はよくわかってないということが多々ある。
時折、大声張り上げ、正義の矛とともに苦情攻撃しているおっさんがいるが、
「委託業務」をこなしている相手に斬りかかっても成果は得られず、大概は徒労で終わる。
最近流行りのLCCの場合、人件費削減のため、「カウンター業務」、「搭乗手続き業務」を兼任し、
果ては「機内業務=キャビン・アテンダント」までこなさせる会社も多い。
そういうスタッフに当たったのなら、多少なりとも話しは通じやすいが、
増便間もない羽田では手が回らなかったのか、どうやらカウンター業務だけどこかに委託したのだろう、
そこでは異なった制服の人たちが働いていて、実際、搭乗業務には別の人が立っていた。
そうなるとこちらの皮肉も皮肉とも受け取ってもらえるはずもなく、虫の羽音が聞こえたかの如く、
彼女たちは表情一つ動かすこともなく、上からいわれたことを淡々とこなしているだけなのだ。
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経験してきた例でいうと預け荷物に追加料金のかかるLCCでも、
「キッチリカッチリスッキリいつも正しい制限重量」というやりかたは日本サイドだけのような気がしている。
アジアの他の国では極端に超えてない限り、いい意味でアバウトにスルーしてくれることがホトンド、
委託業務だからアバウトなのか、「委託」されているからこそ完ぺきに守るべきなのか、
リピーターにもなる利用者のことを考えたら推して知るべしなのだが。
あなたの向いている先は会社と取引先ではないの、という例がこの国では多過ぎないかえ~、おまえさん。
X-ray検査のガードマンも同様で、「PCは出してください」とPCを箱に入れている客にいう必要はないよね。
「今やろうと思ったのに~」と小学生さながら言い返したくなる気分だ、あるいは地団太踏んだ方がいいかもしれない。
確かに不慣れな客には説明が必要だが、その都度、応対すれば済むことではないのかなあ。
あれも「ルールのためのルール」になっていて、頻度の高い利用者は辟易しているのが現状だ、
だが文句を言わないほうが日本人の美徳が守られるのかもしれない。
お願いだから空港利用「初心者レーン」と「リピーター・レーン」と分けてくれないかなあ。
そうすれば混雑緩和にもなるので、いいアイデア、新マニュアルだと思うんだけど。
一億総コンビニ・マニュアル化、マニュアルには新マニュアルしかないだろうぜ。

残念ながら羽田空港には「Priority Pass」で使えるラウンジはないため、
コンビニでお茶を買い、夜食のおにぎりを頬張り、ロビーで無料Wi-Fiを繋いで時間をツブした。
日付が変わる頃、ようやく「自動化ゲート」を抜け、ボーディングへ進んだ。
そうそう、羽田空港は出国口によって「自動化ゲート」がない場所があるのでご注意を。
機材は真新しいA321、座席は3-3の配列で新品の合皮のシートが心地いい。
「狭い」とウワサされるLCCだが、この機材の場合、181cmの身長でヒザがピッタリ前の座席に当たる感じ。
5時間のフライトならまあガマンの範疇かな。
が、それよりもプロモーション・チケットなので座席指定ができず、
3席の真ん中に割り当てられたことがちょっとカナシイ、こういう点が安さとの引き換えでゴザンス。
深夜便、しかも機内娯楽のないLCCなので、エア・ピロー膨らまし、垂直のまま、ただただ爆睡することに。

現地時間5:40、定刻より15分遅れで香港国際空港に到着した。
香港の朝の動き出しは遅く、しかもこの時刻はまだ暗い。
そんな時間に香港の街に出ても困るだけなので、明るくなるまで空港で待機することは出発前から決めていた。
バゲージもないので入国せず、到着フロアに居残り、横になれるベンチを探した。
午前5時、まだ香港に着いたとはいえない。
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