Ramadan Market @Kuala Lumpur [Malaysia (KL)]

クエスチョン・マークを浮かばせたまま、飲み物片手にニギヤカな『ブキ・ビンタン』を歩く。
目的もなくブラついていると昨日夕食を共にした友人から「今夜はなんか予定ある?」と電話が入った。
「なにもない」と告げると、ナイト・マーケットに行かないか、とお誘いの言葉。
KLには有名なナイト・マーケットが数ヶ所あるらしく、そのうちの一つに行ってみないか、というハナシだ。
旅先の誘いには乗ったほうがいい、旅先では「次」はないからね、これまでの旅の経験則デス。
ただしお金が絡むような誘いにはご注意を、モチロン見ず知らずの人の誘いには乗らないように。

仕事場まで来てくれないか、というので最寄りの駅を教えてもらい、
LRTに乗り込み、『Wangsa Maju』という駅を目指した。
この駅、KL中心地の北側にあるのだが、『ブキ・ビンタン』からはアクセスが悪く、
チャイナタウンに近い『パサール・セニ』に戻り、そこから北上していく形をとらなければならなかった。
(お好きな方はKLの路線図など検索してみてね。空港アクセスもLRTです)

聞いた駅名だけを頼りに見知らぬ駅で降りると、クルマで迎えに来てくれていた。
「ゴメンネ、変な住宅街まで来てもらって」
駅から少し離れたところに彼女が働くカフェがあるらしい。(写真9・10)
「かまわないよ、こんなところに来るチャンスはないからね。
それに元々、予定もないし、誘ってもらえてウレシイよ」

「仕事ちょっと残っているから迎えに来たわ。夜マーケット行くけど、今マーケット見る?」
ナニを言っているのかわからなかったが、少し走るとクルマを路肩に止め、歩くことに。
するとその先には広場があり、数々の出店が広がっていた。
「ナニ? コレ?」

「『ラマダン・マーケット』よ。この時期だけの」
「おお~」
イスラム暦なので毎年変わるが6月のこの時期はイスラム教の「ラマダン」=断食月にあたることが多い。
「断食」というと「絶食」をイメージするが、「ラマダン」は日中はなにも口にできないが、
日没後には家族揃って、『Buka Puasa(ブカ・プアサ)』という食事をとるのが通例だ。
そういったモスリム(イスラム教の人々のこと)に向けての臨時マーケットに連れてきてくれたのだ。

店先では調理の音と香しい煙がニギヤカしい、仮設テントを行き交うお客で沸いていてさらに興味が募る。
見たことない食べ物も多く、一軒一軒訪ね歩いて、食べ散らかしたくなる思いに駆られる。
「こういうローカル・マーケット好きなかなあ、と思って。でもドリアンはないけどね」
「へへへ、活気があっていいよね、食べたくなるし、写真も撮りたいし」

「みんなここで買って帰って家族で食べるの。わたしたちも仕事帰りに買い食いしたりね」
彼女は中華系マレーシアンなので「ラマダン」自体は関係がない。
「へええ、シンガにはあまりないからこんなスタイルは知らなかったよ。あ! あ~あ!」
「どうしたの?」

「いや、さっき『ブキ・ビンタン』でも出店が並びはじめていたんだ、これだったのか」
「夕方から」「食べ物ばかり」「イスラム系」…、店のデータはこの「ラマダン・マーケット」と同じだ。
繁華街で見た風景を説明しながら、ここにきて浮かんでいたクエスチョン・マークを消去した。
シンガポールにもモスリムはいるが少数派、「アラブ人街」に集約されているという感が強い。
しかしここマレーシアではその割合はもっと高く、色合いも濃くなるのだ。

「いいねえ、今度はマレーシアンのガイド付きで見ることができるね、食べ物の説明よろしく~」
「通訳いらないでしょ! それと食べ過ぎないでよ、夜もマーケット行くんだから!」
「おっけ~ラ~(OK)、も~まんたいラ~(無問題)」

こちらの軽口を聴き、ローカルのマレーシアンがマジマジと顔を見ながらすれ違っていく。
名も知らぬローカル・マーケットにカメラ片手の日本人、あるいは通報されるかもしれない。

コメント 0