Carrick Fergus Castle @Belfast [Northern Ireland (UK)]

―DAY5― 10月1日
朝から満席のツアー・バスに揺られていた。
昨日、チェックインの際に見かけたホワイト・ボードに書かれていた情報が気になっていた。
ディナーにクラブ・ナイト、各種デイツアー・・・宿泊者向けのイベントがアレコレ記されている。
PCを叩き、こちらの予約状況を確認しているスタッフに詳細を尋ねると話はトントン拍子に進んでいった。
「へえ、ディナーにクラビングかあ、楽しそうだね。それとこのツアーって、まだ申し込めるかな?」
「荷物置いてくる間にツアー会社に電話で聞いておきますよ。夕食とクラブは当日の昼でもOKだよ」
こちらの問いかけをメンドくさがるわけでもなく、手馴れた感じで受け答えしてくれた。
ホステル・レベルだとこういうことを煩わしく思うスタッフもいるが、この宿は親切なスタッフが揃っていた。
受話器を取る彼を置いたまま、2階のベッドを確認し、荷物を置いて、また事務室に降りた。

「まだ申し込めるみたいですよ、ただこの夕刻には締め切るみたい」
「え、どうしよ。迷っている場合じゃないな、いまブッキングしちゃおう」
「OK~」
受話器を持ったままの彼にそう答えると瞬時に翌日の予定が決まった、
ワンデイ・ツアーの代金18ポンド(≒3,500円)をカード決済、けっこう文無しでも生きていける。
「9:30にピックアップが来るみたい、朝食が8時からだからリビングに居れば声かけますよ」
「ありがと。となるともう一泊プラスしてもいいかな?」

着いた時点で2泊分はブッキングしていたが、
2日目、つまり明日をワンデイ・ツアーに費やすとなるとベルファストの街を巡る時間がない。
もう一日ないとこの街を歩く時間は到着した今日のこのあとの時間だけ、ということになってしまう。
「あさって土曜日チェックアウトだよね? う~ん、土曜日の晩は満杯ですよ」
「おお? そうなの?」
「でもまあ、週末の予約は動くので明日また確認してください」
「OK」
そういうとカメラバッグをブラ下げ、街の中心へ向かった。

やたらと人が多くわさわさしていて落ち着かなかったダブリンと違い、
ベルファストの街は圧倒的に人が少なく、落ち着いた雰囲気が心地よかった。
市庁舎の真ん前にある観光案内所で教えてもらい、路面店やショッピングモールの中の両替店を見て回ったが、
結果的に観光案内所のレートが一番いいことが判っただけで、フリダシに戻る形で両替し、文無しを解消した。
この時期、対円のポンド・レートは200円弱と高かったので、余っているUSドルを持ってきていた。
US$50=30,21ポンド、これだけあればしばらくは飢えないで済みそうだ。
なにせランチに買ったサンドウィッチが3ポンド(600円!)、まともに計算すると卒倒しそうだったので、
ここでも1ポンド100円ぐらいのアバウト換算で暮らしていくことにした、それでも高いけど。

繁華街をブラつき、落ち着いたカフェでコーヒーを飲み、街に馴染んでいく、ダブリンの喧騒は何処へ、だ。
帰り際に教えてもらったスーパーでロースト・チキンを丸ごととホール・ウィートのパンとジュースを買う。
キッチンがしっかりしていたことと連泊を決めたので多めの食糧を買い置くことができるのだ。
ランチはレストラン、夜は宿で自炊、なにせ独り身で夜のレストランというのは少々寂しさが募るのでね。
帰り道の信号待ちで突然話しかけられた。
「チュンゴーレン? チャイニーズ?」
カッチリとしたスーツを着込んだアイルランド紳士の口から出てきたのは紛れもない中国語だったので、
それに合わせるように中国語で「イープンレン(日本人)です」と答えてみた。

「これは失礼。買い物袋を提げているし、この辺りは中国人留学生が多く、日本人は少ないので」
「いえ、ただの日本人観光客ですよ」
「実をいうと家内と私は中国語を勉強しているんだが、家内の方が上達が早くてね。
なので街で中国の人を見かけると話しかけるようにしているんだ、家内に負けないようにね」
「そうだったんですか、日本人ですみません」
「いやいや、この街じゃ、日本の人と話すのも貴重だよ」
なにかの勧誘かと思ったが、単純に中国語会話をしたかったようだった。
それでも外国語を勉強しているからといって街角でいきなり話しかける勇気たるや、すごいバイタリティ。
「では、いい日を」互いにそういって横断歩道で分かれた。

ピックアップのバンは約束の時間通りやって来た。
外は霧雨が降っていて肌寒い、おまけに8時というのに外は真っ暗、ダブリンから2時間北上しただけなのに。
「雨は朝だけ、陽が出れば止むのさ」
貸し切りのバンのドライバ-がそういう、どうやらこれがいつものベルファストの天気らしい。
数軒のホテルでピックアップした後、『ヨーロッパ・バス・センター』に近い場所にある
「Allens Tour」という事務所の前で待っていた大型バスに乗り換えることに。
ツアーバスの車内は『ジャイアント・コーズウェイ・ツアー』に参加の人ですでに満席状態、
車内にはポツリポツリと空席がある程度で少しばかり気後れしたが、一番前の席が遠慮がちに空いていた。
「ここ、座っていいのかな?」
「かまわないよ。誰もいないから」

ドライバーにそう尋ねると明るい答えが返ってきたので、久々、添乗員気分で最前列の席に腰かけた。
というのも日本のツアーでは海外のツアーバスの一番前の席には座らせないのがオキマリ。
「保険がきかない」という名目で最前の一列は空けてもらい、ガイドやローカルガイド、添乗員が座っていた。
もっともこの名目は眉唾モノ、最前列だけ保険がきかないわけがない、
「ツアコンやガイドは死んでもいい、って会社が言ってるんですよ~」とジョークにしていたけど、
おそらく毎日その席が奪い合いになるのを避けてのことではないかなあ、と思う、正解は調べてないけど。
まあ、自分のツアーは席割りを決めていたし、写真を撮りたい人には最前列の席を使ってもらっていたっけ。
せっかく日本を出ているのに日本のルールや規則に縛りつけるのはイケすかない気がしていたからね。
バスは『Carrick Fergus Castle(キャリック・ファーガス城)』へ、ワンデイ・ツアーのはじまりはじまり。
Carrick Fergus Castle
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