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スキー・リゾートを越えて from Gangwon-do [South Korea (江原道)]

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雪に塗れながら、帰国便です。

前回記した通り、今回は騒動塗れの「毎月ソウル」、いろいろ塗れまくりの滞在です。

この秋口、韓国は「トコジラミ」騒動、それを日本のメディアは焚きつけるように大騒ぎ。
フランス辺りで大発生しているというニュースは掴んでいたが、
そいつが経由便の多いソウルに持ち込まれたらしい、トコジラミのハブ空港化ナリ。
韓国ではそんなに騒いでいない、というハナシを聞いてましたが、
日本では国が滅びるぐらいの取り上げ方をしていて、
それに乗せられた韓国リピーターがSNSで輪をかけて大騒ぎ。
アナタタチが泊まるホテルは心配ねえのだよ安宿のオハナシだよ、と思いつつ、
コチラは清潔そうなコシウォン(=まっこう安宿)に予約を入れた。



話題のソレはバックパッカーや旅人の間では「南京虫」と呼ばれるヤツ、
英語では「ベッド・バグ」と呼ばれている。

長く旅しているが、ベッド・バグに襲われたのは一度だけだ。
ヤツはドミや安宿のベッドに棲み着いて悪さするワケだが、
マレーシア・マラッカにオリジナル・チキンライスを食べに出向き、
行き当たりバッタリで飛び込んだ安宿のベッドでガッツリやられたことがある。
そう、あのベッドは人の形に凹んでいて、おそらくシーツも替えていないシロモノだったんだよね。

https://delfin.blog.ss-blog.jp/2008-06-14 マラッカ紀行

https://delfin.blog.ss-blog.jp/2008-06-24 オリジナル・チキンライスはこんな感じ

https://delfin2.blog.ss-blog.jp/2015-02-26 セルビアでのベッドバグのハナシ

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前回記した通り、人の助けを借りながら深夜、カンナムのコシウォンになんとかチェックイン、
ところがたどり着いた宿には客が一切おらず、3・4・5階の3フロアで自分ひとりだけという慄く状況。

ここ泊まっていいのかあ? と深夜に声を出して問うても返事がないので、笑うしかなかったが、
深夜着だったのでふてぶてしくも熟睡爆睡。

翌朝、ノックで目を覚ますと、きっちりと英語を話すスタッフがそこに。
「うちは受験生向けの寮(まさにコシウォン)で、通常、シーズンオフのこの時期は客を入れないんですが、
オーナーの気紛れでこの冬も客を入れることにした」そうで、どうやらそこに最初の予約を入れたらしい。

宿の案内にあった「食堂で朝食を提供」がコシウォンとしてはめずらしかったので予約を入れてみたのだが、
「食堂は開けていないのでコレで」と紙袋いっぱいのカップラーメンを手渡された。
おいおい、日本人には朝からカップラーメン食う習慣はないんだぜ。

昼間はスタッフが常駐し、ちゃんと説明してくれたこともあり、宿移動は見合わせた。
すべての部屋のドアは開け放たれて、元来「営業してなかった」のでひとまずトコジラミの心配はゼロだし。
オンドルや熱いシャワーは充分だったが、
夜はスタッフも去って、ほかにひとの気配がないのでなんだか薄ら寒い滞在。
無音無人の貸切滞在も悪くない気がしたのと予想外の展開に好奇心も募ったので、
そのまま帰国日まで居続けることにした、だってオモシロイじゃん、これ。

と思いつつ、他の客との交流も見込めず、面白味がない滞在は確定したので、
出発前の羽田で誘われていたスキー・リゾートへの合流を決めた。

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オンラインでチョンニャンリ(清涼里)12:30発~サブク(舎北)15:36着のムグンファ号を予約、
15-17日の週末、右も左もわからないまま、カンウォンドを訪問することに。

「週末はカンウォンド行ってきます、部屋で死んでないからね」と冗談交じりで宿のスタッフに告げると、
「明日16日はこの冬最大の寒波が韓国に到来しますよ、ダイジョウブ??」と逆に心配された。
ちなみに宿代は通しで支払い済みなので週末だけキャンセルすることもできず、
我が部屋はお金を払った荷物置き場と化したワケで。

金曜、小雨が落ちる中、久しぶりにチョンニャンリ駅を訪れると駅ビルはすっかりキレイになっていた。
待合室やカフェがきっちり整備され、お出かけモードのソウルっ子で賑わっている。

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トンヘ(東海)行きのムグンファ号は客車5両の短い編成、モバイル乗車券で指定の番号の席を探す。

そういやあ、一人で韓国の長距離鉄道に乗るのは初めての体験。
以前、釜山行きKTXに乗った時は韓国友人と一緒だったので後を着いていくだけだったからね。
改札口なしで列車に乗り込むスタイルはヨーロッパ式で異国情緒満載。
週末のせいか、車内はほぼ満席、デッキに立っている人もいたけど特急も立って乗れるのか?

異国での鉄道乗車はちょっとばかり胸が高鳴る、3時間の鉄路でなにするわけじゃないけど。

発車ベルもなく、定刻になると列車は勝手に動き出した、このあたりもヨーロッパ・スタイル。
車両が動き出すと同時にアチラコチラでビール缶を開ける音がする、この辺は日本スタイル。
途中、乗務員がやって来たが席が埋まっているのを確認するだけで検札なし、これもフシギなスタイル。



ソウルを離れるに従い、車窓に白い平原が広がっていく、郊外は雪が降っているらしい。
「週末の大寒波」ダイジョウブか? カンウォンド。

ランチ用に買い込んだベーカリーのパンを齧ることも忘れ、
ヒーターの効いた車内でコーヒーを手に文庫本を読み耽っていると3時間の鉄路の旅はあっけなく終了。
5分遅れでサブク駅に到着、友人にピックアップしてもらい、ハイ1(ワン)・リゾートへ向かう。

カンウォンドのスキー・リゾート(ゲレンデは日本式ドイツ語)はコンドミニアムのビルが5~6棟並列。
それぞれのビルの地下に駐車場、1~2階はレンタルショップや貸しロッカーが広がっていて、
別のフロアにはチムチルバンやジム、コンビニや食堂が置かれ、日本のスキー場より近代的な感じだ。
ただしゲレンデメシは高くてそれなり(写真2)・・・、このあたりは日本と変わらないのね。

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客室にはミニキッチンとバスタブ付のバスルームが備わり、半袖でいいぐらいオンドルが効いていたが、
寒波が到来した土曜日、ナイター・ゲレンデでは気温計が-17℃を指していた、ココハドコダ?
おかげでパウダースノーでゲレンデ・コンディションは上々だったけどね。

https://www.high1.com/www/index.do High 1 Resort

https://www.seoulnavi.com/play/1421/ ハイ1リゾート・ソウルナビ

カンウォンドからソウルの宿に戻ると他の部屋にもチェックインがあったらしく、人の気配アリ。
それでもホトンドの部屋のドアは開け放たれていて、奇妙な滞在にさほど変化なし、擦れ違うこともなし。
とにかく静かで穏やか、快適な滞在を満喫できたかな、カップラーメンはがっつり余ったよね。

帰国前日、寒波の揺り戻しか、ソウルの街は雪で覆われ、フライトにも影響を及ぼした。
翌日の帰国便が心配になったが、そこは持ち前の出発運の良さを発揮、
雪は雲散し、心配は霧消、出発は無問題。
地下鉄~空港鉄道と乗り継ぎ、無事、仁川空港のラウンジにたどり着き、のんびりとランチタイム。

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週末カンウォンドにしろ、受験生向けコシウォンにしろ、
クリスマス前の滞在はいつもの「毎月ソウル」とは異なる奇妙な体験が満載となったワケで。

旅はやっぱりイレギュラーやアクシデントがおもしろいんだよね。

20, DEC. 2023 @ Asiana Lounge, ICN A/P



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いってきます! Fly to Seoul and... [South Korea (Seoul)]

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今回の旅の騒動のはじまりは羽田空港。

いつものようにオンライン・チェックインを済ませ、
チェックイン・カウンター手前のキオスク端末で搭乗券を取り出し、
早めにラウンジに潜り込んで、残っていた書き仕事でもしようかなと目論んでいた。

いつものように誰とも会話することもなく、スムーズに手荷物検査場へ向かうナガレだったが、
検査場に足を踏み入れる前にメッセンジャーの通話通知が鳴った。

「これから韓国出発でしょ?」

「そうだよ、これからX-ray、世界一タイミング悪いな」

そう悪態をつくと画面に名が出ていた韓国の友人が海の向こうで笑っていた。

「あはは、ゴメンゴメン。週末、カンウォンドに行くんだけど合流しない?」

「かんうぉんど? ナニソレ? ドコだソレ?」

「スキー・リゾート。家族で行くんだけど来ません?」

「あのねえ」

まったく。
出発前に唐突なお誘い。
予定を直前に決めるのはアジア人のサガ、たぶん日本人はアジア人じゃないんだ。

「フライトでじっくり考えてみるわ」そういって通話を切った。

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ソウルから電車で現地へ、宿はコンドミニアムだから心配なし・・・などなど、
通話の後に清涼里駅の時刻表とコンドの地図など各種情報が送られてきていた。

宿もガッツリ一週間取ってあるつーのに、チェックイン当日じゃキャンセル(払い戻し)もできねえぞ。
「カンウォンド、ドコよ、カンウォンド!」と羽田の出発フロアで叫びたくなっていたが、
ラウンジのシャワーで気分を変えることにして、予定を再構築してみることにした。
といっても市内が混み合う週末はなにもしないでカフェで過ごすのが常道なのだが。

今回のフライトはこんな感じ。

2023-12-13 20:05/22:35 OZ1035 HND/GMP
2023-12-20 15:35/17:20 OZ106 ICN/NRT

コロナ後はチケット高騰が続いている、それもこれもバカ高サーチャージが原因だ。
マイル発券連発でこれを補い、空港使用料の7,010円のみで韓国旅行を実現というワケで。

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到着便は少し遅れ、金浦空港に到着。

外国人用の入国審査がちょっと混んでいたため、金浦空港から江南駅に着くと日付が変わっていた。
終電が近づき、江南駅地下街の出口は次々と閉められていたが、
係員に「4番出口行きたい~」と告げるとそこのドアだけ開けてくれた。
この国のこういう融通というか、加減が好きだ。

開けてくれた出口から地下街を出ると12月の深夜だというのにけっこう暖かく、
東京の夜と同じ感じでみごとに拍子抜け、マフラーや手袋の準備はムダになったかな。
ポツポツ雨が落ちてきていたが、どうやら翌日にも続いたこの雨がこの暖かさの原因らしい。

今回も引き続き知らない宿に挑戦、そのため毎回チェックインが完了するまではちょっとした冒険だ。

宿を見つけること自体もそうだが、スタッフがいてドアを開けてもらえるかがちょっとした勝負、
ロックされたドアの前から何度電話したことか。
なにせ人件費節約で夜はスタッフが帰るゲストハウスやホステルも多いからね。(ホテルは問題ない)
それもコロナ後は事前メールでメインドアや部屋のロックの暗証を教えてくれることが常道化しつつある、
スタッフが食事で不在なんてこともあるから、旅人としてはこの「プリ・チェックイン」方式は助かる。

この「小冒険」、看板を出してない、あるいはハングルのカンバンだけ、となるとドツボのパターン。
なにせこちとらこの国では「文盲」ですからね、あいかわらずハングルは読めない。

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で、今回もコシウォンの入ったそれらしいビルやカンバンが見当たらない。

キャスターバッグを歩道に置き、スマホの地図で確認し直してみるが、見い出せない。
それらしいビルがあるのだが、カンバンが出ておらず、そのビルの中にあるのかもわからない。
深夜の路肩でスマホ片手に少しばかり途方に暮れかけていると、声をかけられた。

「なに探してるの? 旅行の人?」

韓国語で半分もわからなかったがそんな感じは汲み取れた。

「コシウォンです、このビルの番地、ドコにありますか?」

カタコトの韓国語で聞き返してみた。

「このあたりにコシウォンなんてあったかな? 住所わかる?」

そう答えてくれたオジサンにスマホを差し出し見せようとしたら、唐突に画面が暗くなった。
バッテリー切れ!
空港から宿を調べたり、カンウォンドを調べたりしていたので、ムダにバッテリーを消費していたのだ。




「あちゃあ、バッテリー、オプソヨ(なし)です」

「日本の人? 事務所においで。PCあるから調べるよ、それと電源も繋いであげるから」

アヤシイ事務所に連れていかれるわけでもなかろう、オジサンに続き、ビルの奥の事務所に進んだ。

「ニホンいましたよ、ツルミ働いてたよ、ナンダッケ、あの赤い電車」

急に日本語で話しかけられ、知っている地名に驚かされた。

「ケイキューですか? 京浜急行、赤い電車。
 当時は京浜鶴見かな。今日、その赤い電車で空港まで行きましたよ」

こちらも日本語と韓国語を交えて答える。

「そうそう、懐かしいねえ、ケイキュ~♪、赤い電車~♪」

オジサンは若いときに鶴見の電機メーカーで働いていたらしい、今はこのビルの警備員のご様子。

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そういえば「毎月ソウル」をはじめた頃、深夜到着で市庁止まりのリムジンしかなく、
そこからタクシーを捕まえ、乗り込んだ車内で当時多かった「ぼったくり」を警戒していたら、
唐突に日本語で話しかけられたことを思い出した。
その時も同じく「ツルミ」が出てきて盛り上がったのだ、妙なところで話がリンクしていく。
https://delfin.blog.ss-blog.jp/2009-05-15 深夜リムジンでシチョン(市庁)到着

「検索すると隣のビルだねえ」

PC画面を指差しながらそういうと「行ってみよう」と促された。
バゲージそのままで隣の雑居ビルに入り、階段を3Fまで上がるとフロントらしきものがあり、
そこには宿のカンバンが出ていた。

「ここみたいです、コシウォンのナマエがありました」

「それはよかった。夜はいつもいるからさ、時間あるときにまた寄りなよ」

重ね重ね礼をいうこちらに気さくにそう言ってくれた。
考えてみたら、スマホを見直す前にビルを上がってみればなんでもなかったのだが、
到着でくたびれ、億劫になっていたのでおじさんに声をかけられる結果となったわけだ。
バゲージを取りに戻り、握手をして別れた。

小雨が落ちる深夜のチェックイン前、アチコチにソウルの小さなやさしさがあった。

13, DEC. 2023 @ GMP A/P



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