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SUPERBOWL LV [Sports]

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『プレシーズン・ゲーム』(オープン戦)の全試合キャンセル、
『インターナショナル・ゲーム』(ロンドン4試合、メキシコシティ1試合)の開催中止を早々に発表、
いつも通りとは言いがたいが、
NFLはいつも通りの9月に『レギュラー・シーズン』をKICKOFF。

様々なイベントやプロ・スポーツが中止やシーズンの短縮を強いられる中、
NFLは通常通りのシーズンをこなしていく、空虚な観客席とともに。

突発するチーム・スタッフの罹患や主要メンバーやコーチの濃厚接触など
チームの動きを縛るニュースがたびたびリーグ内を駆け巡る。
日程変更やバイ・ウィークの入れ替えなどで16試合の公式戦は無事に消化され、
リーグは困難な一年を例年と変わりない形で乗り切ってみせた。

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年明けの1月からは『スーパーボウル』へのチケット争奪戦となるポストシーズンが始動。

世界最大級のリーグであり、もっとも成功しているスポーツ・エンターテインメントの一つであるNFLは、
今シーズンから『ワイルドカード』枠を1つ増加した。
成功しているからこそ、放映権料という味わい深いパイを増やさない手はないからね。

各カンファレンス、地区優勝4チームにワイルドカード3チームを加えた7チームが
ポストシーズンに進む形に。
必然、シード2位のファーストラウンド・バイ(免除)は消え、(写真2=ブラケット参照)
特等席の恩恵はシード1位のみ与えられることとなり、
「Win or Go Home」=一戦必勝のトーナメントの過酷さはさらにその度合いを増すことに。

1978年から続けてきた「16試合制」も今シーズンがラスト、
2021年シーズンからは「17試合制」が導入され、NFLは成長・拡大の一途を辿る。
将来的にはワイルドカード枠をさらに1つ増やし、各地区2位まで出場可能に、なんて試案も噂されている。
困難な時期にぶち当たってしまったわけが、パイを増やす道行きをく突き進んで行く、

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そのポストシーズン、初戦のワイルドカード・プレイオフを勝ち上がったチームにおもしろい現象。

AFCはQBマホームズ(KC)、ジャクソン(BAL)、アレン(BUF)、メイフィールド(CLE)と
平均年齢24歳に至らないニュー・ジェネレーションが顔を連ねる。
NFCではロジャーズ(37歳・GB)、ブリーズ(42歳・NO)、ブレイディ(43歳・TB)という
レジェンダリーな顔ぶれが残り、カンファレンスに生まれたQBジェネレーションが話題を生んだ。

次世代QB対決は昨年のチャンピオン=カンザスシティ・チーフス(KC)がシード1位の貫録を見せ、
パトリック・マホームズは対戦前の予想通に連覇の頂を目指すことに。

波乱が巻き起こったのはNFC、シード5位のタンパベイ・バッカニアーズ(TB)が
初戦でアウェイながらシード4位のワシントン・フットボールチーム(WAS)に順当勝ちすると、
『ディヴィジョナル・プレイオフ』ではシード2位のニューオリンズ・セインツ(NO)を挫き、
『NFCチャンピオンシップ』でもシード1位のグリーンベイ・パッカーズを退け
周囲の予想を大きく裏切り、頂に駒を進めた。

リーグ内で囁かれていた「ホームチームは出場できない」という「スーパーボウルの呪い」を打ち破る、
という大きな話題とともにまさかのトム・ブレイディ、まさかの43歳は自身10度目のスーパーボウル、
「G.O.A.T.」が刻んだこの数字は偉業であり、異様でもある。

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さまざまなトピックはさておき、第55回スーパーボウルは個人的には楽しみな対戦に。

チーフスはHCショッテンハイマー時代から愛してやまないチーム、
プレイオフで勝てない彼にブラウンズ時代から幾度となく切ない思いをさせられ、
58番には守備のおもしろさを教えてもらった。

バッカニアーズは初めてNFL取材に赴いたチーム。
8月のトレーニング・キャンプに1ヶ月張り付いたのだが、
当時は「タンパに行く」と知人に告げてもキョトンとされる地名だった。

HCダンジー指揮下でプレイオフ常連にのし上がった頃で、
その後、彼が去り、HCグルーデンが初のスーパーボウル制覇を成し遂げる少し前の頃合い。
バッカニアーズ誕生前から「ヤンキースのキャンプ地」として名を馳せていたこの街、
まさか松井秀喜の入団で連日、日本のニュース番組でその名を連呼されることとなるとは。

それはまさに彼らがスーパーボウル初制覇を遂げた春先のお話し、「Yankees Suck」。

まずはH.E.R.の「アメリカ・ザ・ビューティフル」。

https://www.youtube.com/watch?v=qTrYd6o-OR8
H.E.R. performs 'America the Beautiful' before Super Bowl LV

チーフスは第1回スーパーボウルに出場、第4回に初制覇、
昨年=第54回を制したことで、50年ぶりの栄冠をもたらした。

バッカニアーズは2008年からプレイオフすら出場できておらず、
第37回スーパーボウルが唯一の出場で唯一の栄冠だ。

今年度のホストチームはNFC、
NFLではホームチーム(ホスト)にジャージ・カラーの選択権が与えられており、
バッカニアーズはプレイオフをアウェイで勝ち上がってきた縁起を担ぎ、ホワイト・ジャージを選択した。

スーパーボウルでは2004年以降、カラー・ジャージはわずか3勝しかしていない、なんてデータもある。
(第45回GB、第52回PHI、第54回KC)


ざっくりした対決の構図は「魔法使い」マホームズを中心としたチーフスの攻撃と
リーグ1位のターンオーバー・レシオを誇るタンパ守備陣の対決、という感じ。

蛇足ながらスーパーボウルでの「攻撃1位」対「守備1位」の対決は守備が有利、というデータが。

コイントスはビジターのチーフス(KC)がコールし、後半のボールをチョイス、
まずはバッカニアーズ(TB)のレシーブ=攻撃からはじまる。

つづいてナショナル・アンセム(国歌斉唱)。

https://www.youtube.com/watch?v=vswaT_KOZCw
Jazmine Sullivan & Eric Church Sing the National Anthem at Super Bowl LV

現地時間2月7日18:37KICKOFF。

1stシリーズ、TBは3&OUT、つづくKCもファーストダウン1度更新したのみ、
バッカニアーズも同様に1度の更新でパント、
QBブレイディは2年前、一方のQBマホームズは昨年とスーパーボウルMVP対決もまずは膠着状態。
KCのランが出はじめるが、パスは一度も通らず、49yのFGでまずは3-0と先制。

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先制点は取ったものの攻撃の波を掴めないKCを尻目に、TBはランとパスを小気味よく織り込み、
最後はTEグロンカウスキーに8yTDパスであっさり逆転、7-3。
QBブレイディはスーパーボウルの第1Q初のTDという奇妙な記録付き。

3&OUTのKCを尻目に、小気味いいテンポたTBはゴール前2yまで進み、4thダウン・ギャンブルに。
KここはCディフェンスが守り切り、モメンタムを呼び込む流れに。

しかしKCは続く攻撃もリズムを掴めず、さらにパント時にペナルティで後退、
蹴り直すとわずか29yのミスパントに。

TBはKC38yという好ポジションから攻撃開始み
踏ん張るKCディフェンスがインターセプトするが、ペナルティで水泡に。
なんとかFGに押し留めたかと思われたが、ここでもペナルティで1stダウンを与え、
最後はTEグロンコに2つめのTDパスが通り、14-3、KCは反則で自壊した形。

これでようやく目覚めたか、KCは前半残り6:00からボールを進めるも、
レッドゾーンに入ると堅牢なTBディフェンスに阻まれ、34yのFGに留まり、14-6に。

こちらはキックオフ直前のおなじみフライ・オーバー。

Super Bowl LV flyover

TDを奪えなかった上に、1:05も残してしまったのが大きな過ち、このミスをブレイディは逃さない。

ショートバスを刻むとまたKCディフェンスが34yのP.I.ペナルティの過ちを犯す。
わずか0:55で71yを進み、最後はWRブラウンにTDパスが通り、21-6と大きな追加点。

KCはTDを奪えず、TDを与えてしまう最悪の形、8つのペナルティで自らリズムを失ったまま、前半を終えた。

LTフィッシャー、 RTシュワーツ、LGオセメリとOL先発3名を欠いたことでパス・プロテクションを保てず、
QBマホームズにプレッシャーが襲いかかっている。

併せて彼のターフ・トゥ(足指の靭帯損傷)もあり、パス攻撃は不安要素が膨らむ。

TV画面には写らないが、パス・カバーがきついのか、パス・ドロップも多ことも気になる。
「守備のバッカニアーズ」が「攻撃力のチーフス」を封じた形で前半を終えた。

ハーフタイム・ショウは昨年もっとも売り上げを記録した「ザ・ウィークエンド」、
今回は距離を取るため、フィールドにステージを設けず、エンドゾーンに設営した。

The Weeknd’s FULL Pepsi Super Bowl LV Halftime Show

後半はKCの攻撃から、この1stシリーズでTDを奪えれば、試合の流れはガラリと変わる可能性も。

呼応してゴール前2yを止めたKC守備がボールを奪う、
あるいはリーグ4位のQBサックをお見舞いするか、
ブレイディにプレッシャーをかけ続けられれば、モメンタムはたやすく傾く。

「前半と後半は別の試合」というのがアメリカン・フットボールの常識、
なにしろKCは先にビッグプレイで流れを呼び込みたい。


最初のプレイでRBエドワーズ=エレアが26yのビッグ・ゲイン、
しかしこのランだけで結局、52yのFG止まり、まだ希望の灯は見いだせない、21-9。

TBは返す刀でTEグロンカウスキーに25yのロング・パスを通し、
つづいてRBフォーネットが27yのロング・ランで事も無げにTDを奪ってみせる、28-9。

TDが取れないKC、TDを重ねていくTB、前半との違いが見い出せない。
先発を失っているKCのOLは崩壊状態、そこにリーグ1位のTBディフェンスが圧をかけ続け、
マホームズにパス・ターゲットを探す猶予を与えない。

さらにTB守備はパス・キャッチは許してもセカンド・エフォートを許さない集中力、
反面、KC守備はTBのラン・アタックを恐れ、やや保守的な傾向に陥っている。

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QBマホームズはQBサックを食らい、続いてWBヒルに投げ込んだロング・パスは弾き飛び、インターセプト、
TB守備陣に完全に後手に回らされている。
TBはこのターンオーバーで3:34ときっちり時間を消費、
スナップ・ミスなどあったものの、52yのFGで確実な追加点、31-9。

この後、KCはなんとか13プレイを紡いでみせたが、ゴール前11yで「4th&9」のギャンブルに失敗、
22点差は縮まることなく、第4Qに雪崩れこんでいく。

TBはラン・プレイを中心に9プレイを重ね、追加点こそ奪えないが5:26も時計を食い潰す。

試合は残り8:06、KCはふたたび4thダウン・ギャンブル失敗、
ラストはインターセプトでジ・エンド、スコアに動きなく、そのまま終了を迎えることに。

Tampabay Buccaneers (#5) 31-9 Kansascity Chiefs (#1)

先発メンバーに欠場が多かったことを割り引いても、
マホームズが脳震盪で退いたブラウンズ戦で見せたディフェンシブ・チャンピオンの気迫は何処へ。

急場凌ぎのKCオフェンス・ラインをTBディフェンス・ラインがみごとに粉砕、
終始、主導権を掴まれたせいか、KCは前半8度の反則、95ヤード・ロスと迷走、
これは今シーズンの試合前半でもっとも多いペナルティ(結果、ペナルティ11度、120ヤード・ロス)に。

またスーパーボウルでTDスコアなしは第37回大会以来、
マホームズはNFLキャリア初のTDなしという不名誉な記録で終わった。

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TBは2度目の栄冠、ワイルドカード・チームの優勝は7チーム目を数える。
ブレイディは7つ目のスーパーボウル・リングと5度目のMVPを獲得、
できることなら試合を支配したTBディフェンスのユニットにMVPを捧げたい。

この一戦で再度の「ステイ・ホーム」期間を楽しませてくれたNFLのシーズンも終了。

旅もままならないご時世が続きますが、NFL取材はいつになることやら。
過去の取材記事など眺めながら思いを馳せるばかり。

http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-07-23 (シカゴ取材)
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2009-10-31 (ダラス・新スタジアム取材)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-10-15 (ミネアポリス取材)
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06 (デンバー取材)
http://delfin3.blog.so-net.ne.jp/2017-10-20 (オークランド取材)
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-07-09 (ハワイ・プロボウル取材)
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-05-23 (メキシコボウル取材)
http://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-04-07 (ロンドンボウル取材)

9月には新しく変貌を遂げるシーズンが待ち受ける、それまでフットボール・クレイジーは冬眠の季節。
それまでに旅の冬眠時期も溶けるといいのだけれど。

Are you ready for some Football???


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