Malaysia-Singapore Second Link @Singapore [Singapore]
―DAY5― 6月21日
赤道近くの国は6:30というのにまだ夜が明けておらず、闇に覆われたままだ。
静かに友人宅を後にし、暗い歩道を歩き、始発駅からMRTに乗り込むと車内は意外にも満席状態だった。
ガラガラを予想していたので少しばかり気後れしながら、空いている席を探し、腰を下ろすと、
駅を重ねるごとに人が増え、車内は満員電車へと変貌していった。
通勤ラッシュを嫌ってか、あるいは涼しい時間帯に通勤したい、というセンシティブな通勤者だろう。
これからオフィス近くであるいはデスクの上で、かつての自分と同じように朝食を食べるのかもしれない。
『Paya Lebar(パヤ・レバ)』駅で降り、『Tanjong Katong Rd.(タンジョン・カトン通り)』を歩く。
メールに書かれていた『Tanjong Katong Complex』はあっさり見つかり、
出発前の不安は少し解消された。
JBやマラッカに行く『Queen Street Bus Terminal(クイーン・ストリート・バス・ターミナル)』とは
違う場所をメールで指示されていたので、迷うことも想定して、早く出てきたのだが、
8:00出発のバスまで1時間近く余っていた、少し気合が入りすぎたようで。
ちなみにマラッカへは4時間、KLは6時間ほどのバス旅、以前、こんな感じでマラッカを訪れている。
https://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-06-24 (マラッカ紀行)
その名の通りのコンプレックス・モールの中に進むと、小さなビルの中は休眠状態で薄暗い。
中では小さなスーパーが営業しているだけで、
茶店かカフェで朝食を、という目論見はあっさり崩れ去った。
さらには辺りを見回してもバス会社らしく物影やカンバンなどがなく、
消えかけたはずの不安はふたたび首をもたげてきていた。
そのスーパーで朝食用に車内で食べられるパンと飲み物を調達し、レジのオバチャンに問いかける。
「KL行きのバスって、どこから出るの?」
「ねえ、KLのバスだって、アンタ知ってる?」
オバチャンは知らないらしく、品出ししているオヤジサンに声高に問いかける。
「ああ、アッチじゃねえか、たしか」
忙しそうに働くオヤジサンは別の出口の方向を指さし、そう答えた。
「アリガトネ、探してみる」
時間はたっぷりあったので慌てはしなかったが、
小さなモールにバスの気配がないことが不安を掻き立てていた。
再度メールをチェックしたものの、指定の場所も住所も間違えてはいない。
さらには早朝のモールには人影すらなく、尋ねる相手もいないので、
呆然とモールのタクシー回しでバスを待っているしかない状況になんとも落ち着かずにいた。
いてもいいはずのバス待ちの人もいないため、
シビレを切らしてメールにあった電話に問い合わせを入れた。
オペレーターの女性は「そこでいいのよ、バスは時間に行くわ」と告げ、素っ気なく通話を終えた。
なにしろ出発場所の表示もなければ、バス会社のプレートもなく、バスを待つ人もいない、
あるのは不安要素だけ、という状況下、
エアコンの効いた出入口のガラス越しにバスを待った。(写真2)
ショッピング・モールのムダに広い駐車場の奥には大型バスが数台止まっていて、ドライバーが休憩している。
ジッと座っていても不安が募るばかりでやりきれなくもあったので、歩み寄って教えを乞うた。(写真3)
「『KKKL』のバスってここでいいの?」
「うちの会社じゃないからわからんなあ」
ドライバーは煙草をふかしながら、悪気なくそう答えた。
その後も清掃のおじさんやキャリーバッグを引くアラブ系男性に尋ねたものの、
クリーン・ヒットの回答は得られないまま、時間だけが過ぎていった。
駐車場の大通りに面した側では時折、バンやバスが停まっては誰かを乗せて走り去っていく。
現場や会社に向かう送迎バスのようでもあり、それがKL行きのバスのようにも見えてくる。
遠目でそれを見ながら、「乗り場を間違えていたら、置いていかれただけ」、
「1500円でオモシロネタを買った、と思うしかない」、
と8時を回った時計を見ながらそんな風にも考えはじめていた。
するとその時、広い駐車場の外郭に大型バスが停車した。
デイパックを肩にモールの出入口から駐車場の端まで走る、外気はすでに東南アジアの暑さ満開だ。
それらしいバスが来ているのに見過ごして置いていかれたとなると癪なので、考えることもなく走った。
「これって、KL行き?」
息を切らし、バスに駆け寄りながらチケットをひらめかせて見せる。
バスにはネットで申し込んだ会社のロゴ「KKKL」が大きく記されている。
「そうだよ、乗って」
8:05にやって来たバスは汗だくの1名を乗せると、
遅れたことを悪びれることもないまま、走り出した。
車内は今かいた汗が凍りつくぐらいエアコンが効いていた、
乗客は6~7名おらず、エアコンの効きも格別だ。
途中、乗客を追加することもないまま、シンガポール国内を北に走り、国境に到着した。
どうやら着いたのは西側の新しい国境『Malaysia-Singapore Second Link』のようだ。
今までのウッドランドとジョホールを繋いでいた『Johor-Singapore Causeway』が飽和状態となり、
西側に増設された新しい橋の国境だ、通称『セカンド・リンク』と呼ばれる。
新しく造られたため、通行料金が高く、利用者が少ないらしい。(写真5)
後で調べてみるとバスが$5,6と$0,9、乗用車が$4,6と$1,2、新と旧で料金が4倍も違うようで。
10名も乗ってないバスで元取れるのかよ、といらぬ心配をしつつ、国境渋滞のないことに感謝した。
なにせ週末ともなるとウッドランドの渋滞はまったくヒドイ状態で、
バスを降りる乗客たちとともに歩いて越境し、そのままバスに戻らず、
2つの国を隔てる堤をJBまで歩いてしまった経験があるぐらいヒドイ。
https://delfin.blog.so-net.ne.jp/2008-06-22 (徒歩で国境越え)
8:40、一旦バスを降り、まずはシンガポールの「出国手続き」、
そして先で待っているバスに戻る。
バスで国境の橋を渡った後、また下車し、
今度はマレーシア「入国手続き」を行い、バスへ戻る。(写真6)
お定まりの乗り降りを繰り返し、国境を後にしたのは9:05、
旧国境に比べるとウソのような所要時間、出入国の審査場には行列すらできていなかった。
快適に国境を抜けた後、10:45のトイレ休憩までバスは休まず走り続け、優雅な睡眠を保つことができた。
11:10、郊外の大きなドライブインでトイレ・ストップをこなし、出発、(写真7)
13:50、ニョキニョキ生えた近代的なビルと激しい渋滞の出迎えでどうやらKLに着いたことが分かった。
渋滞のさなか退屈そうなドライバーに「チャイナタウンのそばで降りたい」と告げると、
「もう降りちまいな」と素っ気なくアゴで示され、少し動いたところでドアを開けてくれた。
するとそれを待っていたかのように数人の客が荷物を抱えて降りていく、
そんな彼らに続いて慌ててバスを降りてみたものの、
ここがどこだかまったく判らず、頭真っ白旅行者推参。
それはそうだ、KLは来たことがあるといってもバス・ターミナルしか知らない、ドコだココ。
覚えがあるらしい他の客たちは早々に消え去っていた、なんだか今日はよく戸惑う日だ。
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