The Park @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
リムジンから降り、劇場やアリーナが立ち並ぶ『The Park』へ。
ここの取材は先の事件の影響で「セキュリティ上NG」の変更連絡をもらっていたので、
隣接のビア・バー『Beerhaus at The Park』で早めのランチ取材に。
https://www.theparkvegas.com/en/restaurants/beerhaus.html Beerhaus at The Park 公式サイト
店名の呼称は『ビア・ハウス』、
ドイツのビアホール「ビア・ホフ」は「Bierhaus」のスペリングなので、英語との造語、言葉遊び。
その名の通り、ビールがウリでベガス産の「ブッグドッグ」やリッチな「シンシティ」「ラフレディ」など
ローカルのクラフト・ビールに人気が集まっているという。
一方、ツマミの人気モノは「フライド・ピクルス」、ここだけでなく各所で出会ったので、マジ流行中。
意外にも油っこさと酸っぱさが入り混じり、齧り付く手が止まらない、ビール好きにはタマランだろうなあ。
写真右のフレンチ・フライの親玉みたいなものがソレ、機会があったらお試しを(写真3)
バーやビアホールを上手に楽しむなら、「ハッピーアワー」を狙いましょう。
半額ぐらいで楽しめちゃうので、お酒好きやアレコレ試してみたい向きにはうってつけ。
この店でもその時間帯は大人気、混雑タイムだとか。
撮影用にバーガーやホットドッグ、デザートが出され、テーブルを覆いつくす。
「撮影終わったらゆっくり食べていってよ、この時間、店も空いているからゆっくりしていって」
料理の説明をしてくれた料理長が店のボスに許可を取るようにそう告げる。
「ありがと、コーヒーもらっていいかな」
グランド・キャニオンでブランチ食べたのが小一時間前、第2ランチにはちょと早すぎる。
とはいえ、味の印象を書かなければならないので食べないで済ませるわけにもいかない。
コーヒーが消化の助けになるといいんだけれど。
ちなみに昨夜はディナーの混雑がはじまる前に大人気ブッフェ『Bacchanal Buffet(バッカナル)』、
その後、ボウリングとクラブのフュージョンで人気を集める『Brooklyn Bowl(ブルックリン・ボウル)』、
21時からのディナータイムには人気のステーキ店『Delmonico Steakhouse』と、3軒ハシゴの夕食取材。
『バッカナル』はシーフードとデザートが人気、
『ブルックイン・ボウル』ではお酒に合うフィンガー・フード、
トドメにがっつりステーキがお待ちかね、って取材行程だけでなく、胃袋もビッチシ。
「第3」ディナーですぜ、ステキでしょ。
ラス・ベガスは「ひたすらカジノで楽しんでね」というのが街のスタイル。
一緒に来た子供を「サーカス」や「遊園地」、奥様は「マッサージ」や「エステ」に放り込んで、
ダンナは24時間博打に興じられる街、という風にできている。
食事も徹底的に安く$3ぐらいからの食べ放題が古くからの定番、
ホント「お金はカジノで」と徹底ぶりの街だったのです。
「ギャンブルさえしなければ喰いっぱぐれない」街だったので、バックパッカーにも密かな人気、
$15ぐらいでお湯の出るホテルに泊まれ、$5で夕食を腹いっぱい食べられたから、ってまた昔話だな。
『ザ・ストリップ』にメガ・サイズのカジノが乱立し、「食べ放題」も豪華モードに様変わり、
今では「高級ブッフェ」が観光客を吸い寄せてます。
「カジノしなくても楽しめる街」に変貌してきたんですね。
「食べ放題」はアメリカ英語では「バッフェ」や「オール・ユー・キャン・イート」、
英語では「ブッフェ」やスウェーデン由来の「スモーガスボード」などとも呼ばれます。
「ビュッフェ」は「立食形式」を意味するフランス語、かつて新幹線にありましたよね、ふるっ。
英語と米語では「リフト」や「エレベーター」のように異なる単語が多いのでご注意を。
さらにドイツ語やらフランス語が絡んでくるからわかりづらいですよね、でも「バイキング」は日本語です。
出されたものは食べる主義なのだが、さすがにデザートは撮影のみで断り、
女性スタッフに差し入れ、やっつけてもらうようお願いし、ボスと料理長に礼を告げた。
うれしそうに頬張る彼女たちの笑顔を見て、ちょっと消化が進んだかな。
Fly to Grand Canyon @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
―DAY5― 10月6日
6:45、まだ夜が明ける前にストレッチ・リムジンがお出迎え。
本日はまず「Grand Canyon Picnic Helicopter Tour」で動き出し、暗い時間に起きたので大眠むだ。
てっきりツアー・バンでピックアップされるものと思っていたら、
ホテルのパーキング・ロットに現れたリムジンから降り立ったショーファーに名前を呼ばれ、戸惑った。
観光局の特別アレンジではなく、ツアーのバンと同じようにホテルを数軒回って向かうらしい。
早朝だというのに車内はキンキンにエアコンが効いていて、空港に着く前に凍え死にそうだった。
他のホテルで老夫婦やオーストラリアの家族連れが乗り込んでくる。
オージーの家族連れの男の子2人はヘリに乗るからか、朝からテンションが高い、
年齢を聞いたら中学生と小学生のティーンエージャー、テンションが上がるのもやむ無しだね。
空港にある『Sundance Helicopters』のビルでパスポートを出し、チェックイン、
現地ツアーだが、いちおうフライトなので、パスポートは必須。
またヘリのフライト、グランド・キャニオンという環境からサングラスも必需品ですぜ。
ロビーには無料のロッカーがあり、持参のバッグやいらない上着などが預けられる。
ウェルカム・ドリンクもサービスされ、搭乗前にはミネラル・ウォーターのボトルも渡された。
割り振られたのは8時のフライト、担当キャプテンに促され、ヘリに向かい、事前注意と説明を受ける。
同乗者はアメリカ人の巨漢新婚カップルと年配黒人夫婦が同行者、
重量バランスが心配になったが、真ん中席にならずひと安心、カップルを割って座らせはしないよね。
「英語が不得手な日本のお客さんが来たらどうしますか?」
搭乗前にキャプテンにそう尋ねる。
「搭乗前説明はそんなにムズカシイ英語じゃないから心配はないですよ、
それとへッドセットからは日本語アナウンスも流れるんですよ、後ほどお聞かせします」
搭乗中、コミュニケーションを取るためのヘッドセットを着けるが、
自動の観光案内テープは席番号ごとに、英語やスペイン語、日本語と振り分けて流れされてきた。
世界一の大きさを誇る『フーバーダム』などを見下ろしつつ、
40分ほどのフライトで『グランド・キャニオン』へ、
というか、グランド・キャニオンの「内部」へという感じでヘリは渓谷を進んでいく。
現地のヘリ・ツアー会社はそれぞれ「キャンプ・スポット」を有しているらしい、
国立公園内にそういうのアリなのかい。
隔絶されたテーブル・スポットにヘリが降りていく、『グランド・キャニオン』にお邪魔する形ですねえ。
テントが張られた台地ではシャンペン付きのブランチが待っていた。
ヘリがローターを止めると静寂到来。
殺風景な絶景貸切。
ここにいる数名だけで風景独占。
谷間を抜ける風の音だけが響く、無音極地。
『グランド・キャニオン』を崖の上から見下ろすのも絶景だが、
『グランド・キャニオン』に入り込んで眺めるのもまた格別、感慨はひとしおだ。
「ねえ、ここに泊まらせてくれない?」
「ハハハ、さすがに泊まる設備はないよ!」
ブランチを頬張るパイロットに戯れ言を吐くとテーブルが笑い声に包まれた。
あ、そうそう、旅行会社のオプショナル・ツアーや現地ツアーにも
さまざまな「グランド・キャニオン・ツアー」がありますが、
ヘリで眺めて帰ってくるだけのツアーはあまりオススメしません。
グランド・キャニオンの大きさがわからないんですね、上空からだけだと、ただ茶色の大地眺めるだけ。
ヘタすると気流が悪くて乗り物酔いだけして帰ってくる、なんて破目に陥ることも。
国立公園内の『ノース・リム』や『サウス・リム』から見下ろして、身近に感じるのが王道ですが、
ラス・ベガスからは距離があるので、「ヘリ・ツアー」での時間節約もアリ。
その際はグランド・キャニオンに降り立ち、歩いて眺められるツアーをオススメします。
時間はかかりますが、バスで向かって現地散策、ってのもいいですよ。
ゴマスリではなく、グランド・キャニオンの一端に降り立ってくれる「サンダンス・ヘリ」、オススメです。
嗚呼、この『グランド・キャニオン』が見たくて、バックパック背負って、
アメリカを一ヶ月放浪したのは何年前の話しだっけ、あ、何十年前か。
『エンジェル・ロッジ』に泊まり、コロラド河まで崖を下り、往復6時間歩いた夏が懐かしい。
帰路はインディアン居留地や湖を眺め、
最後にはダウンタウンから「ザ・ストリップ」のメガ・ホテルをなめるように飛び、空港へ戻った。
帰り着いたのは10時過ぎ、2時間ちょっとのゼイタク・ツアー。
キャプテンのオススメは「ナイト・ツアー」、ベガスのド派手なネオンはさながら「地上の星」だとか。
「うちのツアーは特別感を味わってほしいので、送迎にもストレッチ・リムジンを用意しているの。
最近はウェディング・ツアーが人気よ」
とセールス・マネージャーのおはなし、詳細は公式HPご参照を。
https://www.sundancehelicopters.com/products/grand-canyon-helicopter-tour-champagne-picnic
『サンダンス・ヘリコプター』公式
帰りのリムジンはホテルではなく、次の取材スポットへ回してもらい、途中下車。
長い一日はまだまだはじまったばかり、眠たいとはいってられない。
High Roller @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
セキュリティ・レベルが上がり、『ザ・ストリップ』周辺はさらに治安が良くなっていた。
実はカジノのある街は「安全」でもある。
トラブルが起きやすいギャンブルを安心・安全に遊んでもらうため、
普通の街よりもセキュリティ・レベルは高く、治安自体はいい。
それがさらに「厳戒態勢」となり、この街はこの上ないぐらい「安全」になっている。
「カジノがない国」日本の人たちは「カジノ」というと「アブナイ」というイメージを抱くらしい。
「鉄火場」「博打場」を連想するからだろうか、ギャング映画やヤクザ映画見すぎですぜ。
モンテカルロにしろ、シドニーにしろ、リマにしろ、アトランティック・シティにしろ、
カジノやそれと隣接したエリアはなにしろ安全。
あのマカオですら、メガ・カジノができて、キレイで安全になっちゃった。
マカオ独特の「ヤバイ」感じが好きだったんですけどね。
カジノは「大人の社交場」、ドレスアップして、カクテル傾ける時間を過ごすのは楽しいですよ。
その場合は血眼で人押しのけてベッティングしている中国人がいないカジノをオススメしておきます。
四方山話はさておき。
安全になったラスベガスをゆっくり取材できるのかと思いきや、どうやらそうはいかないらしい。
セキュリティ・レベルが上がったところで、すべての取材許可は取り直しとなり、
朝から現地観光局の担当者と電話、SMS、メール連絡ひっきりなし。
日本から持ってきた予定表はまさに白紙状態になりにけり。
スケジュールのすべてが組み直し、同時に先方の許可を待ちながらの取材、ドタバタ劇はまだ続く。
この旅路、平穏はいつ訪れるのでしょう。
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Four Corners @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
―DAY4― 10月5日
朝から容赦ない日差し、10月にも関わらず、短パンで暮らせそうだ。
ラス・ベガスに到着し、今日から11日までは現地観光局のアテンドで動くことになっている。
観光局の現地アレンジとなると「せっかく来たのだから」ということで、
回りきれないぐらいのスケジューリングが用意されるのが常道。
これはラスベガスに限ったことではなく、観光局に取材許可をお願いした際の悩みのタネ。
なにせ自分たちで歩く時間がないぐらい予定ビッチシ、ということが多いのですね。
日本出発前に送られたPDFのドキュメントには時間刻みのスケジューリングがビッチシ、
そこには取材、ミーティング・アポ、食事の時間も回数もガッツリ記載されていた。
国立公園を自力で巡っていたのんびりペースはここまで、
ベガスでは売れっ子タレントのように動き回ることに。
まあ、編集もカメラマンもドライバーもいないので、「売れっ子タレント」からは程遠いけど。
あわせて昨夜、ようやく旅のはじまりの躓きの謎が解けた。
1日目は深夜に到着し、ベッドに倒れ込み、
2日目は寝不足のツケを払拭するため、ベッドに沈み込み、
3泊目の昨夜ようやく『ベラージオ』でゆっくりメールをチェックし、
アレコレ調べたことで謎は解決の方向へ向かっていった。
10月1日 ラスベガスでは悲惨な事件が起きていた。
https://www.bbc.com/japanese/41466370 「ラスベガス銃乱射事件」
あまりに凄惨だったのでこの事件を記憶されている方も多いと思う。
この事件直後にアメリカ「入国」していたのですね。
フライトは日本時間2日、到着の身には事件が起きたことも知る由もなく、
乗り継ぎの空港ではセキュリティ・レベルがガッツリ上がり、
到着したサンフランシスコで入国検査や手荷物検査が厳しくなり、
バッコリそれに引っかかった形となり、大いなるタイム・ロス、LAじゃないのに。
こちらは時間を失い、取材行程に影響が出ないことばかりを心配し、
日本に報告メールなどをしておりましたが、
返信メールには「現地ダイジョウブ?」とか「気をつけて」とか、
事情のわかってない身には腑に落ちない返信が多かったのですね。
まさかラス・ベガスで58人が亡くなる悲惨な事件が起きていたとは。
振り返ってみると「ビジター・センター」は半旗だったし、
ベガスの各所では「VEGAS STRONG」の文字、空港到着だけではわからんかったけど。
戻ってきたベガスのホテルはセキュリティがやけにキビシク、
さらにほとんどのショップ、レストラン ファストフードの店頭には警備員が立っている。
事件は悲しく残念でしかないが、街の中はさらに安全で安心、観光客の表情は明るい。
渡航延期、旅行自粛しているのは日本人観光客だけ、というぐらい日本人の姿は見かけない。
こうなると取材当日に事件に出くわさなかったことが幸いだったのかもしれない、と都合よく捉えていた。
旅先はオプティミストでいたほうがイライラが募らないからね。
さあて、まずは『ザ・ストリップ』エリアの取材だ。
The Strip @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
あらかじめコーヒーとスナックを買い込み、ラスベガスへの3時間のドライブがはじまった。
闇が続くだけハイウェイではFMラジオとコーヒーが救い。
同じ過ちを繰り返してはいけない、というボストンの探偵の言葉にしたがい、帰りの準備は万端だ。
「なんで日本のFMはずっとしゃべっている?」
アメリカをドライブするたび、異国の友達がそういっていたことを思い出す。
FM局といえば音楽かけっぱなしが当たり前で、DJが語ることなどホトンドなく、
曲紹介も入るか入らないか、彼にはしゃべり続ける日本のFMがフシギでならなかったらしい。
ロングドライブのお供には音楽かけっぱなしがありがたいし、このスタイルのFMが好きだ。
ラスベガスが近づいてくる、この街で旅の序盤に起きたトラブルの謎が解き明かされることになるのだが、
それには今しばらくのお付き合いを。
これまでフリーの行程で動いてきたが、ラスベガスからは現地観光局のアテンドが付く。
観光スポット、取材アポイント、レストランの予約・・・、明日からは先方の意向に乗って動くのだ。
と同時にホテルも手配してくれているので、「宿無し」の不安からは抜け出せるのだが。
ラスベガス最初の逗留は『Bellagio(ベラージオ)』、
明日以降の取材にクルマは必要ないのでレンタカーは返却予定。
ただしクルマを戻すとバゲージ引きずってホテルまでの自力移動を強いられるので、
まずはホテルのショート・タームのパーキングに停め、チェック・インを済ませることに。
ここ『ベラージオ』のパーキングには宿泊客用に「60分無料」のパーキング・ロットがある。
この手の有名ホテルは1DAYパーキングで$20~30持っていかれるので、経費節約&移動倹約。
「デポジット、『$600』が必要です」
レセプションの女性は表情も変えずにそういった。
「600どる??? 持ってないけど? カードで問題ないよね?」
「モチロン」
ホテルやモーテルでは国際電話のかけ逃げなどを防ぐため、デポジット(保証金)を取るところがあるが、
まさか「7万円よこせ」と言われるとは思わず、「しっくす・はんどれっ?」と二度見風に聞き直してしまった。
どうやら『ザ・ストリップ』(ラスベガスのメイン・ストリート)のホテルでは、
カジノでスッて逃げる客を抑制するためだろう、大きめのデポジットを取るようだ。
当然ですが、チェックアウト時に「カードレシート」はボイド(破棄)してくれるので、
忘れずに確認しましょうね、マジで忘れるホテルもあるので、後日ビビらないようにチェックしてね。
カードキーをもらい、キャスター・バッグを引きずり、部屋に上がる。
メガサイズ・ホテルなのでバカ広いカジノ・フロアを抜け、エレベーター・ホールに向かわされる、
電動カートかレンタルのセグウェイが必要なぐらいの距離を歩かされるハメに。
さらにエレベーター・ホールの手前で一人ひとりカードキーをスキャン、セキュリティがやたら厳しい。
実はこのことも謎解きのカギのひとつだった。
部屋で荷物を広げ、シャワーを浴び、体勢を立て直すと、時計は20時に近くなっていた。
レンタカーを返却するため、『マッカラン国際空港』へ。
街なかで戻してもよかったが、先に書いたチェックインの手間と空港から市内へのアクセスの取材、
あるいはレンタカーの借り出し、返却手順も取材の一環なのでね。
空港へ向かうハイウェイでまたひとつアクシデント勃発、記事にならないネタに出会った。
空港行きハイウェイの途中から分かれる「レンタカー専用レーン」を探しつつ、
最低速度ののんびり運転で走る、なにせ5~6車線ある慣れない道、見づらい夜だからね。
当然のように通勤の人たちにとっては邪魔者でしかなく、避けるようにバンバン追い抜いていく、
80キロ程度でノタノタ走るなよ、と言わんばかりに。
帰宅ラッシュのクルマがひしめく中、数台後方で激しく「キーーー」っというスリップ音がした。
重ねて「キキー、キッ」と続く音を追うようにルームミラーを探ると
2、3台後ろを走っていた緑色のピックアップ・トラックが横向きで右方向に滑っていった。
「どん」という鈍い衝突音の後に激しいクラッシュ音が続き、緑色の車体が跳ね上がるのが見えた。
「えええええー」と言いながら慌ててアクセルを踏んだ、巻き込まれるのを避けるように。
さながら映画のワンシーン。
スクリーンを観ているなら息を飲むけど、リアルな事故はご勘弁、これ以上のトラブルはご免。
後方を見続けるわけにもいかず、レンタカー・ターミナルへの道を急いだ、安全運転を心がけて。
レンタカーを戻し、シャトルバスで空港へ。
アメリカの空港はレンタカー利用率が高いので、公共交通機関がない空港が多い。
地下鉄が乗り入れていることもあるが、シャトルバンかタクシー・キャブで、というケースがホトンド、
ここラスベガスも例に漏れず、多くの客は「空港送迎」の乗り合いかチャーターのバンを利用する。
そこであえて市バスで「ザ・ストリップ」へ、取材の時間はまだまだ終わらない。
Temple of Sinawava @Zion [Zion (U.S.)]
混み合うシャトルバスで『ザイオン・ロッジ』へ。
車内は上から下までビッチリ揃えた本格トレッキング派から、のんきな日帰り行楽客までスタイルさまざま。
それでも憧れの国立公園を訪れ、同じスポットを目指している、という共通項があるせいか、
見知らぬ同士でも言葉を交わし、談笑が止まらず、混雑した車内でもフンイキは朗らかでおおらかだ。
途中のバス・スポットで降りる人たちに陽気な声がかかり、アイサツの声が飛ぶ、
窮屈なほど混み合うバスだが、そんな感じのムードで『ザイオン・キャニオン』の奥部へ進んでいく。
『Zion』という名称は古代ヘブライ語の「聖域」に由来、「ザイオン」というのは米語読み、
おそらくラテン語読みだと、サイド3を陣取る某公国の名称としてお馴染み、「ジーク・ジオン」!。
『ザイオン・ロッジ』でホトンドの乗客が降り、それに続くように下車した。
車が入ってこない制限エリアなので人々のリラックス度は増していて、
広い芝生では子供たちが駆け回り、転がり回り、止まらない嬌声に親たちの笑みがこぼれる。
カフェテリアの前に据え付けられたウッド・チェアでは朝からトレッキングをこなした人たちだろうか、
寛ぎのサンタン・タイム。
片手にはもれなくビールグラス、さながら標準装備の様相。
激しい山歩きの後に傾けるビールは割り増しでウマイだろうね、
あるいはトレッキングなどしなくてもウマイのかもしれない。
ちなみに「車は入れない」と書いたが、
この『ロッジ』の宿泊客は許可証を得て、クルマで入ることができる。
国立公園内に宿泊、なんてちょっと特別な体験をしてみてはいかが。
まずはもっとも近い『エメラルド・プール・トレイル』へ。
初級レベルなので行き交う人は表情が明るい、「トレイル」というよりちょっとした遊歩道だね。
『ザイオン・キャニオン』のメイン・イベントは、
『テンプル・オブ・シナワヴァ(Temple of Sinawava)』からさらに最奥部に進んだ渓谷部分。
ここを目指すとなると ヒザ丈のクリーク越えをせねばならず、
光を遮る巨岩の合間を歩くことにもなるのでかなり本格的な装備が必要な上級コース。
今回、編集部からは「行かなくてもOK」の許諾を得ていたので、歩ける範囲で写真撮影に没頭した。
記事ネタとしてトレイルを歩く人やデッキチェアで寛ぐ人たちを捕まえては話を聞かせてもらい、
シャトルバスのドライバーやレンジャーにローカル情報を教えてもらった。
軽装でも行ける「トレイル・ルート」を数か所巡り、川沿いを歩き、
『テンプル・オブ・シナワヴァ(Temple of Sinawava)』の停留所まで北上すると日が傾きはじめていた。
シャトルバスで『ビジター・センター』へ戻ると16:30になろうとしていた。
それでも歩き疲れたとは言ってられない、ラスベガスまで3時間の長距離ドライブがあるから。
Zion Mount Carmel Hwy @Zion [Zion (U.S.)]
―DAY3― 10月4日
朝からカラリと晴れていたが、湿度がないせいか肌に感じる風はけっこうヒンヤリしていた。
朝食用のシリアルとコーヒーが事務所に用意されているらしい。
小さな事務所の一部を割くようにテーブルとイスが置かれ、朝食コーナーが据え付けられていた。
シリアルがあればミルクもあるのでそいつが狙い、コーヒーにドボドボ注いだものをザバザバ流し込みたい。
「安モーテル」と記しているが、宿の少ないカナブではこれでも$90ぐらいするので安くはない、
朝食程度がついていてもバチは当たらないが、カラフルな色合いのシリアルは食べる気にならなかった。
先客のジイサンがいて、ボリボリと音を立てシリアルを頬張っている。
「スタッフですか?」
「いや。スタッフは昼にならないと来ないよ」
「そうですか、ありがとう」
朝早いからスタッフがいないのではなく、そもそもスタッフはホトンド来ないご様子。
それじゃあ、あの夜、誰もいなくてもフシギではないよね。
即製カフェ・オ・レ片手に部屋に戻ると、
昨日会ったベッドメイクのおばちゃんがチェックアウト済みの部屋を掃除していた。
「おはよ~。昨日はありがとう~。この部屋もチェックアウトするよ」
「支払いは済んでいるの? カギは事務所に置いていけばいいわ」
「ネットで支払い済み。いろいろありがとう! おかげで助かった」
手の中にチップを忍ばせお礼の握手、「あら」という感じで彼女の顔から笑みがこぼれた。
事務所のデスクにカギを置くと、安モーテルとカナブの町にお別れの時だ。
昨日は日が落ちるまで『ブライス・キャニオン』でカメラ小僧、大きな月を背中にカナブへの帰路を辿った。
この小さな町には21時過ぎに帰り着き、スーパーでデカイ冷凍ピザを買って、部屋に転がり込んだ。
備え付けの電子レンジがあったのでやっつけの夕食、食欲よりも寝不足地獄からの脱却が重要だった。
カナブの町を発ち、『Mount Carmel Junction』を左に折れ、『ザイオン国立公園』を目指す。
今日は『ザイオン』でトレッキング・コースの取材、
その後は長距離を走り、一路、ラスベガスへ戻る、今日も長い一日になりそうだ。
1時間ほどで『Zion National Park』に到着、東側の入口から『Zion Mount Carmel Hwy』を辿る。
https://www.nps.gov/zion/index.htm ザイオン公式サイト
『Zion Mount Carmel Hwy』は公園を横切る形で走っているのだが、
なにせ車窓が忙しい、奇観、異観、壮観が目白押しなのだ。
少し走っては止まり、走っては止まり、と運転よりもファインダー覗くことに夢中になってしまう。
「景観のドライブスルーですやん」とわけのわからない独り言を呟き、シャッターを切り続けたが、
このままではいつトレッキングできるかわからないぞ、と思い立ち、ステアリングを握り直した。
『ブライス・キャニオン』は標高の高さもあり、壮大な景観を見下ろし、眺める情景、
『ザイオン』はクルマで巡りつつ、気に入ったところで景観に入り込み、親しむ情景、
という感じだろうか、あくまで「個人的な見解」です。
ロード・サイドにクルマを止め、イスを置いてティータイムやランチを楽しんでいる家族やカップルも多い。
ようやく南西部にある『ビジター・センター』にたどり着き、
トレッキング・マップと見どころを教えてもらい、クルマを置いた。
今走ってきた『マウント・カーメル・ハイウェイ』は通年、クルマで巡ることができるのだが、
様々なトレッキング・ルートがある『Zion Canyon Scenic Drive(ザイオン・キャニオン)』は
4月から10月の間、一般車両は立ち入ることができず、シャトルバスで向かわなくてはならない。
トレッキング、山歩き組はみなこの無料の循環シャトルバスで運ばれていく。
渓谷のコンディションを記した案内板の温度計は華氏80度(約26℃)を示している、
昼になれば30℃に達するかもしれない。
熱くて長い一日はまだはじまったばかりだ。
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Bryce Point @Bryce Canyon [Bryce Canyon (U.S.)]
カナブの町の北にある『Mount Carmel Junction』で飲み物とサンドウィッチを買い込んだ。
ここは北へ向かえば『ブライス・キャニオン』、西に『ザイオン』、南は『カナブ』という分岐点。
国立公園内は売店もレストランもあるかわからないことと、
トレッキング・ロードを歩く可能性もあるので、飲料は多めに買い込んでおいた。
もちろんガス・ステーションもあるとは思えないので、相棒のお腹もいっぱいにしておいた。
ほぼ一本道、予定の1時間半より少し早く『Bryce Canyon National Park』に到着、
ゲートで入場料$30を払い、中に進んだ。
ゲートやビジター・センターに近い『サンセット・ポイント』、『サンライズ・ポイント』、
『インスピレーション・ポイント』はツアー・バスが横付けされ、団体客で混み合っている。
記念写真にもってこいの場所で中華系韓国系のご一行がスマホ片手に写真撮影に夢中だ。
「一番奥の『ブライス・ポイント』まで行っちゃったほうがいいわよ」
料金を払う際、うまい回り方を尋ねたらゲートのスタッフはそう答えてくれたので迷わず、最奥部へ。
ここまでくるとすれ違う人もまばら、風景はほぼ貸し切り。
フォト・スポットになるところでは順番を譲りあったり、家族写真を頼まれたり、のどかな雰囲気。
ただし標高が2500m前後と高く、気温も12~3度しかなく、風が強い。
遊歩道はリッジの上を歩くような形になので、風に吹きさらされ、体感温度がかなり低く、
一眼レフを握っている手がみるみる悴んでいく。
カナブの町は標高1500m、今朝の気温は18度だったので、1時間半で初冬に落とし込まれた気分だ。
たまらずクルマからウインド・ブレーカーとフェイス・マスクを取り出し、自己防衛。
それよりも太っちょアメリカンたちは寒さよりも息が切れるご様子、ちょくちょく見かけ、腕を貸す。
標高的には「高地トレーニング」できる環境だから彼らの身にはツライのだろう。
ラパスやクスコを訪問した経験からすると「空気が薄い」というほどではなく、
それよりも吹きすさぶ風と寒気に負けないよう、遊歩道を小走りで写真撮影を続けた。
その姿を見て、すれ違う太っちょたちは呆れ気味のウンザリ顔をみせていた。
あとはただただ歓喜の写真撮影、みなさまも駄文より『プライス・キャニオン』をご堪能あれ。
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The Wave @Kanab [Kanab (U.S.)]
―DAY2― 10月3日
朝からかなり冷え込んでいて、カキンカキンと音をたてるセントラル・ヒーティングの音で目を覚ました。
昨日の悲劇的行程を考えると二度寝を決め込みたかったが、取材スケジュールがそれを許してくれない。
レセプションがある本棟へ向かい、薫り立つコーヒーと甘いパンケーキの朝食で目を覚ました。
8:20、『カナブ・ビジター・センター』へ。
マストの取材スケジュールではなかったが、「カナブに泊るなら」ということで、
かの有名な『The Wave』の抽選会に挑んでみることにしたのだ。
https://www.arukikata.co.jp/webmag/2015/rept/rept76_04_150300.html 『The Wave』
クジ運が良ければ『The Wave』のトレッキングへ、
ハズレても抽選会の様子をコラム仕立てで、というハナシが編集会議で上がっていた。
パーミット(許可証)を得るための抽選会は8:30スタート、
小さな事務所にはすでに100名ほどの観光客がいた。
随時、代表の名前とグループ参加者の名を記し、番号をもらい、9時からの抽選会に備える。
グループを跨いでの応募はできず、重複がわかれば権利は剥奪される、と説明がある。
狭い事務所内は人があふれていたが、お互いを気遣いながら大人の振る舞いで手順よく進んでいく。
今日の申し込みグループ数は「64」組、と告げられ、嘆息が漏れた。
なにせ『The Wave』に入れる人数は一日20名なのだから。
ホトンドの参加者はトレッキング姿が多く、ダメモトで来ているご様子。
抽選会の後、『The Wave』以外の目的地や予定を組み込んでいるらしい。
話を聞くと「今日で3日目」とか「5日目」とか、明るい答えが返ってくる、
どうやらカナブ滞在中の「朝の恒例行事」といった感じで抽選会に来ること自体を楽しんでいる向きが多い。
もらった抽選番号は「18」、あら、エース・ナンバー、といってもそれは日本球界だけだけど。
9時になると、ビンゴマシンで抽選がはじまった。
当選番号が呼ばれ、2名、1名、3名、5名・・・と枠が埋まっていく。
「当選者1名組」と告げられると「Yeah~」、「5名」だと「Oh No~」と一喜一憂、場の雰囲気はいい。
また最後の組が20名を超える場合、辞退するか、部分参加か問われるので、
(残席2名で、次の当選者が6名組でも2名しか行くことができない)
「辞退するわ」の声で「再抽選」となり、参加者はここで一番の盛り上がりを見せた。
昨夜、貧乏クジを引きまくったのでことによるとツキが回ってくるかもしれないと思ったが、
再抽選の後も「18」が呼ばれることはなく、抽選会は終わった。
http://www.arukikata.co.jp/webmag/2015/rept/rept76_02_150300.html 編集部抽選会レポート
本来の目的、レンジャーのチーフに時間をもらい、インタビュー。
「本日の参加人数は? 64組いたそうですが」
「そう、64組、人数は140名ぐらいいましたね」
「ないと思いますが、確実に行く方法はありますか?」
「毎日、一週間続けて来ても外れる人は外れるからね。
当選確率を上げたいなら冬の時期に来れば、人が少なく倍率は下がるのでそれが狙い目だね」
「逆に倍率が高いのは?」
「まさに今の時期だよ。夏はキツイし、トレッキングに適してた秋が一番混むからね」
例を告げ、『ビジター・センター』を後にし、『Parry Lodge』へクルマで戻った。
荷物をまとめ、ジョン・ウェインに別れを告げ、チェックアウト。
清算しながら「昨夜、親切にしてくれたオヤジサンにお礼を」と告げ、宿を後にした。
当初泊るはずだったモーテルへ。
事務所はやはり閉まっていて、スタッフも誰もいない、
う~ん、やっぱりこの宿とは縁がないのかなあ、と思ったら、ベッドメイクのオバちゃんの姿が見えた。
声をかけ、無理をいって、スタッフに電話してもらう。
話は通ったようで泊まるはずだった部屋を開けてくれ、ウソのように手順よくチェックインが済んだ。
荷物を放り込んだだけでクルマに戻り、『ブライス・キャニオン』へ、1時間半のドライブ開始だ。
Long Long Night Driving @Las Vegas [Kanab (U.S.)]
車の多いラスベガス市内で時間を失いたくなかったので、そのままハイウェイに乗り込んだ。
ラスベガスの街から北へ向かうハイウェイは真っ暗でなにもなかった。
町へ繋がる降り口はあったが、ガス・ステーションだけで併設のコンビニ、売店がない。
アメリカの「ハイウェイ」は町へのアプローチ部分にコンビニやファストフードなどがあるはずなのだが、どういうわけかそれがない。
どうやらネバダ州の田舎度合いを見くびっていたようで、ここでもチョットした悲劇の一端となった。
コーヒーぐらい飲ませろ~、とベガスで買わなかった恨み節を呟きながら暗い道を走り続ける。
あの~、夕飯まだなんですけど、といいながらFMのチャンネルを変え、気分のいい音楽で紛らした。
2時間走ってようやくガソリンスタンド併設の売店を見つけ、
トイレ・ストップとコーヒー、夕食代わりのドーナツを買い込み、再びアクセルを踏んだ。
与太話ですが、一時期、どこかの国で行列してた『Krispy Kreme Doughnuts』、
アメリカでは「ガスステーション・ドーナツ」として有名、並んで食べるものじゃないシロモノ。
ロングドライブのお供はドーナツ、というのがこの国の定番。
時計は22:30を指している、ナビには「目的地まであと2時間」の表示。
ということは日付が変わるか変わらないかのキワドイ時間帯に着くということだ。
ハイウェイの速度制限は60~80マイル、
時速100~130キロ制限なのだが、80マイルで走っていてもコチラはガンガン追い抜かれる。
あと2時間ということは200km以上先ということね。
やっと手にしたコーヒーとドーナツ、話し相手はFM局だけ、そんな暗闇のドライブは続く。
フライトでがっつり寝てきたので眠気はなく、「クルーズ・コントロール」が付いているのでラクだが、
成田から座り続けているお尻の肉がシンドかった。
結局、『カナブ』の町へたどり着いたのは12:20、ナビったら正確な性格なのね。
静かで暗い町、オンラインで予約していたモーテルへ。
目的の宿を探し当てるのに小さなカナブの町では時間はかからなかった。
ところがモーテルの事務所は明かりが消え、扉には鍵がかかっていた。
ノックをしても電話をかけても返答はない。
おいおい。
サンフランシスコでフライトを逃した時点でモーテル宛てに
「12時を過ぎるかも」とメールは送っておいたのだが、待っていてもらえなかったようだ。
こうなるとクルマで寝ることになるのだろうか、おいおい。
ロング・フライトとロング・ドライブのあと、シャワーも浴びられず、
クルマで寝るのは後の日程に響きそうなのでダメモトで他のホテルを訪ねてみることにした。
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煌々と明るい光を放っていた『Holiday Inn Express』へ。
カウンターのベルを鳴らすと「バンドマン」という感じのお兄ちゃんが出てきてくれた、おそらく深夜番だ。
「空いてる部屋ありませんか?」
「今日は 満室なんです」
「Omg(オー・マイ・ゴッド)、今ベガスから来て、予約したモーテルへ行ったんだけど、
閉まってたんですよ、部屋がなくて困ってます。12時過ぎには着くって連絡入れてたんですけどね」
正確には「今日、日本から来た」のだけど、話しが長くなるので端折っておいた。
「それは大変ですね。でも今、もう1:30ですよ」
「!△@*?」
「ここはユタ州です、ベガスから来たなら時差が1時間ありますよ」
「あらら、じゃあ、こちらが12時の約束を守れなかったわけだ」
ネバダ州は太平洋標準時「Pacific Standard Time=PST」、=現在0:30、
ユタ州は 山岳部標準時「Mountain Standard Time=MST」、=現在1:30、
アメリカの国内の時差はフライトなどでは注意するが、ドライブではすっかりそのことを忘れていた。
悲劇はもはや喜劇になりつつある。
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「他にこの時間でもチェックインできるホテルを知りませんか?」
「ちょっと知り合いに聞いてみますね」
そういうと親切にあっちこっちに電話をかけてくれた。
1軒目は「満室」のお答え、
そう、ここ「カナブ」は小さな町ながら『ザイオン国立公園』『ブライス・キャニオン』、
そして『The Wave』やトレッキングへのベースキャンプ・ポイントとして絶好のロケーションなのだ。
折しも秋のハイ・シーズン、ホテルに空きがないのは当然、空きがあるほどホテル数がないのが実状。
2軒目は誰も電話に出ない、田舎町なので用がない夜間はスタッフも帰るらしい。
「空いてるみたいですよ」
3軒目の電話の向こうでそう告げてると言う。
「いくらですか?」
「一泊朝食付きで$150、だけどこの時間なので、$10オフでいいって言ってます」
150が200でもこちらに選択肢はない、事態はベッドがあるかないか、なのだから。
「じゃあ、そこをおさえてください。今すぐにチェックインに向かいます、と」
レセプションのお兄ちゃんはなにやら世間話をした後、電話を切り、カンタンな地図を書いてくれた。
「ありがとう、本当に助かった。クルマで寝ないで済むだけで感謝です」
「いやあ、助けになってよかったですよ。どこの国の人ですか?」
「日本人です、実は今日、東京から飛び立ってきているんだ」
感謝を告げながら握手をして『ホリデイイン~』を後にした。
チップを渡すのも不躾な感じがしたので、彼の行為に甘えておくことにした。
深夜のカナブの町はひと気どころか、行き交う車もいない。
直後に『Parry Lodge』にチェックイン、レセプションでカギをもらう。(写真8)
ロッジの名の通り、別棟に移動する形でドア前に車を止め、中に入ると
オールド・ファッション・スタイルの部屋が出迎えてくれた、部屋は映画スターをテーマにしているようだ。
何時間起きていて何時間移動したのだろう、時計はすでに2時を指している。
時差を合わせて計算する気にもならず、シャワーを浴びただけでベッドに倒れこんだ。
Fly to McCarran International Airport @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
―DAY1― 10月2日
白羽の矢が飛んできたのは8月下旬、「すぐに行ける代役」という鏃がこちらに刺さったようだ。
取材予定の編集担当が家庭の事情で飛べなくなり、
「写真撮影」「海外運転経験」「通訳なし取材」「航空券やホテルの手配」・・・、
とひとりでこなせることが好都合だったようで、「10月に飛べますか」というお声がけに。
『ブライス・キャニオン』、『ザイオン』、『ラス・ベガス』、『セドナ』を巡る取材なのだが、
「取材後にNFLの取材を入れ込みたい」という条件だけ出すと編集部に了承いただき、取材行が決定した。
サン・フランシスコ(SF)でのゲーム取材なら帰国便ルートを外れることもないのでOKが出た様子。
もちろんSFの取材、滞在費はこちら負担ですけどネ。
この時点で9月下旬にソウル&釜山をうろつくことが決まっており、
9月28日に帰国、10月2日にUSAに飛び立つ、というあいからわずなスケジューリングに。
3日だけ家に戻るならそのまま成田に居ればいいじゃないかという話もありますが。
韓国に1週間、USに3週間って、家賃をムダに費やしているこの人はバカでしょうか。
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2017-09-27 おんたいむソウル&釜山
久々、ユナイテッドのフライト、成田第1ターミナルからご出立。
SF乗り継ぎで『ラス・ベガス』へ向かい、レンタカーを借り出し、ユタ州『カナブ(Kanab)』へ。
02 Oct 2017 16:55/10:25 UA838 NRT/SFO
02 Oct 2017 12:40/14:20 UA492 SFO/LAS
14 Oct 2017 15:15/17:35 UA146 PHX/SFO
20 Oct 2017 11:30/14:35+1 UA837 SFO/NRT
前記した取材地を2週間で巡り、フェニックスからSF入りし、そこで1週間という行程。
https://www.gousa.jp/destination/kanab ユタ州カナブ 公式サイト
ちなみに現在、SFにNFLのフランチャイズはありません。
日本でも人気の「49ERS」は2014年から「シリコン・バレー」の中心地サンタクララへお引越し。
取材対象は「オークランド・レイダーズ」、BARTで「ベイ・ブリッジ」を渡った隣町にあるチーム。
かつてはシーズンがあまり重ならなかったこともあり、
NFLとMLBはスタジアムを共用することも多かったのですが、現在は唯一の共用フランチャイズ。
その前時代的存在も2020年にラス・ベガス移転を申請中(2017年時点未承認)なので、
ここで観られるのもあとわずか、というわけで。
9,5時間のはずのフライトは1時間ほどディレイしてSFに到着、ここから悲劇の幕が開く。
混雑で有名なサンフランシスコの入国審査はやはり長い行列、1時間近く並ぶ羽目に。
2:15の乗り継ぎ時間、つまりこちらの持ち時間はドンドンなくなっていく。
さらにトランジットの手荷物検査が異常に厳しい、
ほぼ全員がバッグを開けるよう命ぜられ、厳重なチェック態勢で時間を奪っていく。
(セキュリティが厳しかった理由は後日判明、この時は知る由もなし)
ゲートに駆け込んだのは12:35、当然、扉が閉まっており、置き去り確定。
アメリカでは国内線乗り継ぎができない、なんてのは電車乗り過ごしたレベルのよくある事由、
慌てず騒がずトランジット・カウンターへ向かった。
「今のフライト、乗れなかったんだけど次の便に振り替えてくれますか」
「OKよ~。IDとEチケット・ナンバーある?」
「どんな便でもいいので、なるべく早く行けるやつお願いします」
「次は14時過ぎのフライトだけれどそちらは満席だわ。LA経由でもいい?」
カウンターのおねえちゃんは手慣れた感じでキーボードを叩く。
「行けるならドコ経由でもいませんよ」
自分で言いだしたものの、おねえちゃんは少々苦戦しているご様子、表情からしてもイマイチ冴えない。
「う~ん、ゴメンネ、16時のフライトしかないわね。LA経由も空いてないの、16時の直行便だけね」
「じゃあ、あきらめてそれで待つしかないですね。ありがとう」
02 Oct 2017 16:40/17:44 UA1416 SFO/LAS
時刻は13時前、振り替えてもらったフライトは16:40、
国内線ターミナルなのてラウンジもなく、売店でコーヒーを買い、Wi-Fiを繋ぎ、
チェックインが遅れることを宿に、現地入りが遅れる旨を日本に、それぞれメールしておいた。
18時前にベガスに着くなら、まあ、悪くないだろう。
ところが悲劇の幕はまだまだ閉じなかった。
16:40のフライトに乗り込み、ウトウトしていたが機材が動いていないことに気づいた。
出発前の最終エンジン・チェックで時間がかかっている、という案内、ベルトをしたまま、待つだけだ。
ふたたび眠りに落ちてしまい、出発案内の放送で目を覚ますと時計は18時を過ぎている、
本来ならばベガスに降り立っている時間だった。
結局、『ラスベガス・マッカラン国際空港』に到着したのは20:20、
フライト・ミッシングで4時間、このフライトで2時間、合わせて6時間の遅れ、
前記のタイム・テーブルを見ればわかるが、本来なら到着地でディナーを食べ終えているはずの時間だ。
しかも移動はまだ終わっていない、ここから4時間のロング・ドライブ、少しばかり眩暈がしそうだ。
『マッカラン国際空港』の到着ロビーから無料の大型バスに乗って、レンタカー会社のカウンターへ。
ご存知のようにアメリカのレンタカー会社は空港カウンター並みのバカデカイターミナルを抱えている。
ベガスではデカイばかりでなく、スロットマシーンも出迎えてくれる。
ここでは予約番号を告げただけで、手際よく運転席に潜り込むことができた、悲劇の幕は閉じたのかな。
ロング・フライトの疲れを気にする間もなく、ロング・ハイウェイ・ドライブへ。
どこかでコーヒーかサンドイッチでも買い込んで走り続けよう、そういえば夕食もまだだ。
カーナビに最終目的地の宿のデータを入れると「所要時間4時間」と表示された。
そう、たった「あと4時間」だ。
Waitin' on a Sunny Day @Las Vegas [Las Vegas (U.S.)]
大変なご時世になってしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
ご存知のようにコロナ騒ぎの走りだった1月=ソルラル(旧正月)のソウルから
リアルな旅はすっかり滞り、ブログも休眠状態です。
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2020-01-21 1月の「毎月ソウル」
3月のソウル行き、せっかくゲットしたLCCの安売りプロモーション・チケットは雲散霧消、
4月のアメリカ渡航取材の話も流れ、こちらも雲消雨散。
旅好きのみなさんも旅行どころか、普段のお出かけもままならないような日常、
なかにはゴールデン・ウィークの旅行を楽しみにされていた方もいるかもしれません。
フィジカル制限はまだしも、メンタル対応がままならない毎日に滅入っている方も多いかと。
そんな「うち籠り」状態がつづく中、
少しのヒマツブシ、僅かなキブンテンカン、細やかなタイクツシノギになればと思い、
古い旅のハナシを綴ることに。
ブログの旅記録は2016年夏の「バリ島」訪問で止まっているという遅筆ぶり、
こちらを少し先送りして、2017年秋に訪れたアメリカ取材の写真を中心にUPします。
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2017-10-02 おんたいむベガス
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2017-10-09 おんたいむストリップ
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2017-10-16 おんたいむセドナ
https://delfin3.blog.ss-blog.jp/2017-10-20 おんたいむサンフランシスコ
今風にいうなら「UPさせていただく」と書いたほうがいいかな、
ああ、気持ちの悪い日本語が氾濫しているぜ。
くだらない駄文よりも旅の画像を。
お目汚しかもしれませんが、刺激のない日々の憩いになれば。
晴れ渡る日が来るのを待ちつつ・・・
まずはプロローグ・・・