Zion Mount Carmel Hwy @Zion [Zion (U.S.)]
―DAY3― 10月4日
朝からカラリと晴れていたが、湿度がないせいか肌に感じる風はけっこうヒンヤリしていた。
朝食用のシリアルとコーヒーが事務所に用意されているらしい。
小さな事務所の一部を割くようにテーブルとイスが置かれ、朝食コーナーが据え付けられていた。
シリアルがあればミルクもあるのでそいつが狙い、コーヒーにドボドボ注いだものをザバザバ流し込みたい。
「安モーテル」と記しているが、宿の少ないカナブではこれでも$90ぐらいするので安くはない、
朝食程度がついていてもバチは当たらないが、カラフルな色合いのシリアルは食べる気にならなかった。
先客のジイサンがいて、ボリボリと音を立てシリアルを頬張っている。
「スタッフですか?」
「いや。スタッフは昼にならないと来ないよ」
「そうですか、ありがとう」
朝早いからスタッフがいないのではなく、そもそもスタッフはホトンド来ないご様子。
それじゃあ、あの夜、誰もいなくてもフシギではないよね。
即製カフェ・オ・レ片手に部屋に戻ると、
昨日会ったベッドメイクのおばちゃんがチェックアウト済みの部屋を掃除していた。
「おはよ~。昨日はありがとう~。この部屋もチェックアウトするよ」
「支払いは済んでいるの? カギは事務所に置いていけばいいわ」
「ネットで支払い済み。いろいろありがとう! おかげで助かった」
手の中にチップを忍ばせお礼の握手、「あら」という感じで彼女の顔から笑みがこぼれた。
事務所のデスクにカギを置くと、安モーテルとカナブの町にお別れの時だ。
昨日は日が落ちるまで『ブライス・キャニオン』でカメラ小僧、大きな月を背中にカナブへの帰路を辿った。
この小さな町には21時過ぎに帰り着き、スーパーでデカイ冷凍ピザを買って、部屋に転がり込んだ。
備え付けの電子レンジがあったのでやっつけの夕食、食欲よりも寝不足地獄からの脱却が重要だった。
カナブの町を発ち、『Mount Carmel Junction』を左に折れ、『ザイオン国立公園』を目指す。
今日は『ザイオン』でトレッキング・コースの取材、
その後は長距離を走り、一路、ラスベガスへ戻る、今日も長い一日になりそうだ。
1時間ほどで『Zion National Park』に到着、東側の入口から『Zion Mount Carmel Hwy』を辿る。
https://www.nps.gov/zion/index.htm ザイオン公式サイト
『Zion Mount Carmel Hwy』は公園を横切る形で走っているのだが、
なにせ車窓が忙しい、奇観、異観、壮観が目白押しなのだ。
少し走っては止まり、走っては止まり、と運転よりもファインダー覗くことに夢中になってしまう。
「景観のドライブスルーですやん」とわけのわからない独り言を呟き、シャッターを切り続けたが、
このままではいつトレッキングできるかわからないぞ、と思い立ち、ステアリングを握り直した。
『ブライス・キャニオン』は標高の高さもあり、壮大な景観を見下ろし、眺める情景、
『ザイオン』はクルマで巡りつつ、気に入ったところで景観に入り込み、親しむ情景、
という感じだろうか、あくまで「個人的な見解」です。
ロード・サイドにクルマを止め、イスを置いてティータイムやランチを楽しんでいる家族やカップルも多い。
ようやく南西部にある『ビジター・センター』にたどり着き、
トレッキング・マップと見どころを教えてもらい、クルマを置いた。
今走ってきた『マウント・カーメル・ハイウェイ』は通年、クルマで巡ることができるのだが、
様々なトレッキング・ルートがある『Zion Canyon Scenic Drive(ザイオン・キャニオン)』は
4月から10月の間、一般車両は立ち入ることができず、シャトルバスで向かわなくてはならない。
トレッキング、山歩き組はみなこの無料の循環シャトルバスで運ばれていく。
渓谷のコンディションを記した案内板の温度計は華氏80度(約26℃)を示している、
昼になれば30℃に達するかもしれない。
熱くて長い一日はまだはじまったばかりだ。
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