Peace Bridge @Derry [Northern Ireland (UK)]

ベルファストへのバスに乗る前にもう一度、ステンドグラスを堪能しようと隣の『ギルドホール』を訪ねた。
建物前の広場ではドコカで見たようなナニカに似たような着ぐるみが3~4体、子供たちに風船を配っていた。
遠巻きに見ていた女のコがママに
「あなたももらってきなさい、写真も撮ってあげる」と繰り返し背中を押されている。
しまいには手を引かれ、着ぐるみのほうに誘導されそうになると、
「NO!」と強い口調で声を荒げ、ママの手を振り払った。

どうやら彼女は着ぐるみが怖いらしく、風船はほしいが近づけず、ボーダーラインを越えられないらしい。
その様子がおかしくて吹き出してしまうと、
わが娘を見て呆れていたママと目が合い、お互い笑ってしまった。
大人の笑いも気にせず、やっぱり彼女は着ぐるみと一定の距離を保っていた。(写真3)

『ギルドホール』の中は母娘で溢れていた。
なにかの親子イベントが行われているようで、
ステンドグラスが美しいホールは子供たちの遊び場と化していた。
今日は土曜日、ショッピング・モールに人が多くニギヤカだったのもそのせいか。
ステンドグラスは子供たちに譲り、外に出ると裏手の川辺に向かった。

『River Foyle(フォイル川)』の川べりはキレイに整備され、近代的な美しい遊歩道が伸びていた。
ジョギングしている人やサイクリストが頻繁に行き交い、ベンチにはコーヒー片手に寛ぐ人がいる。
川の向こうは『Ebrington(エブリントン)』の街が広がっているのだが、
こちら側は「旧市街」、向こうは「新開発地区」とカンタンにいい切れない事情がここにはある。
『エブリントン』はプロテスタント派の「ウォーターサイド」、
川沿いの『St. Colomb's Park(聖コロンブズ公園)』は、
かつての「デリー包囲戦」で英国軍の拠点が置かれた場所でもある。
城壁のあるこちら側はカトリック派の「シティサイド」、
その軍の包囲に耐えた抜いた側で『フォイル川』を跨ぎ、さりげなく両派は隔てられているというわけ。
ヨーロッパの街にはこういう見えない境界線や階級、宗教の隔たりがさりげなくあるのですね。

2011年にこの両派を繋ぐべく『Peace Bridge(ピース・ブリッジ)』が造られた。(写真6)
「街が変わる触媒となる」といわれたこの橋はクルマが通れない「歩行橋」で、
近代的なデザイナブルな橋と添えられた花々が美しい。
そのためか記念写真に熱を入れる旅行者や若者が多く、橋の上ではしゃぐ姿がチラホラ見受けられる。
「ナニ人だい?」
写真を撮り終え、ベンチに腰を下ろしていると年配男性に声をかけられた。

「ニホンジンです、10日ほどアイルランドを巡ってます」
「日本人なのか、めずらしいね。あまり旅行者が多い街ではないからね。
どうだい、この街は?」
「静かでとても穏やかでいい街です。
ダブリンのようにガチャガチャしてなくてとても気に入りました」
「そうか、それはよかった。なにもない街だからね。気に入ってくれてうれしいよ」
「人も穏やかで親切な気がします」
「それはよかった」

頭の中では『ピース・ブリッジ』を渡って、『エブリントン』の街を散策するアイデアが浮かんでいたが、
すっきりと会話を交わしたせいか、すっかり穏やかな気分になり、
めっきり隣町のことはどうでもよくなっていた。
昼を過ぎ、気温が高くなる時間帯のはずなのだが、「英国空」真っ盛り。
いっこうに陽が差す気配はなく、肌寒い陽気が広がっていた、こうなるとくつ下がほしいぞ。

旅のスタイルはまだ初秋だったので、足元はいつものように素足で「Top-Sider」の革のデッキ・シューズ。
ソックスなしでOKなのでその分、荷物は少なく済むのだが、雨や寒さにはチト弱い。
幸い雨には降られていなかったが、10月だというのに「英国空」のせいで足元からの冷えに襲われていた。
寒さに耐えられなければ、帰る前に何処かでソックスでも買おうかな。
あるいはベルファスト行きのバスに乗ってしまえば、寒さも関係ないかもしれない。
Peace Bridge
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