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Derry/Londonderry @Derry [Northern Ireland (UK)]

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―DAY6― 10月2日

今朝もバスに乗っていた、行き先は『デリー』、1時間50分の小旅行の予定だ。

昨日と同じように今朝も安宿にしては気の利いた、というよりすっかり気に入った温かい朝食を食べ、
ミルクをドボドボ注いだインスタント・コーヒーで寛ぎの時間を過ごしたあと、
デイパックに必要なモノだけを詰め込み、キャスターバッグを預け、11時前にチェックアウトした。

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今日の天気も朝から「ストロング・フォギー」、白い霧がまとわりつき、ジャケットが必要な肌寒さに覆われる。
英国領に入ってから天気もすっかり英国風、そんなところ合わせなくていいのに。
デイパックだけの身軽なスタイルで『ヨーロッパ・バス・センター』に歩いて到着、チケット・ブースに並んだ。

「『ロンドンデリー』に行きたいんだけど。往復だと安くなる?」

「今日往復するの?」

「いや、リターンは明日の土曜日で」

「明日の往復ね、少し安くなるわ。11:30のバスがあるけどそれに乗る? 

「乗ります乗ります。カードで支払います」

マイクを通した声はわかりやすくそう教えてくれた。
片道11,50ポンドのチケットが往復で21,50ポンド、少しばかりの割引料金。

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昨日はケバブ・サンドで夕食を手軽に済ませ、スーパーなどをヒヤカした後、ピンクの市庁舎を背にて宿へ向かった。

「明日は空いてないですね、土曜と日曜は空いているけど」

宿に着くや否やベッドの空き状況を尋ねたが、その答えは芳しくなかった。

「う~ん、そっかあ、しかたないね、ありがと」

キッチンで熱いコーヒーにミルクを注ぎ、リビングのソファーに沈み込み、PCでホテルを検索したが、
ベルファストでは安宿も少ない上に週末はすでに埋まっているようで、どうやらこの街での宿無しが確定した。

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地図を広げ、あらためて周辺の街を眺め、掘り下げてみることに。
なにせメインイベントの『ジャイアンツ・コーズウェイ』の奇岩を見終わってしまったので、プランは真っ白、
琴線に触れる街を探し、地図を覗くと『デリー/ロンドンデリー』という地名が目に留まった。

2つの名を持つちょっと変わった街は1972年の「血の日曜日事件」で有名な街だ。

別に歴史に詳しいわけでなく、U2の曲「Sunday Bloody Sunday」(原題)でそのことを知っていただけ。
あの頃は300円でレンタル(!)してきたLPレコードをテープに落としては聴く、ということを繰り返していた。
そのなかにU2の「WAR」があり、このアルバムにシビレてしまい、その後、U2にもどっぷりハマっていった。
U2の中でも特にお気に入りで、CDになっても買い求め、飽きることなく聴き続けていた。

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きっとこの頃から「アイルランド」という国がトゲのように刺さって気になっていたのだろう。
その後、深く知り合うことになるボストンの探偵が「アイリッシュ系」ということもあり、
この国への想いはトゲから枝ぐらいに大きくなっていく。

残念ながら作家が亡くなったことでボストンの探偵に会い続けることは叶わなくなったが、
今も活動を続けるU2はその背中を見続けていて、事あるごとにトゲの存在がちらついていた。
プロモーションのエア・チケットの行き先に「アイルランド」の文字が浮かび上がり、
彼らの国に飛ぶのは悪くないんじゃないか、というか、そのことがチケット購入の背中を押してくれた。

刺さっていたトゲを抜くのに今までかかってしまったが、どうせならトゲの元の樹木まで辿ってみるのはどうだろう。
昨日訪れた『ジャイアンツ・コーズウェイ』のほんの少し西にある街を地図で確かめながらそう思っていた。

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「『ロンドンデリー』行きはどの乗り場ですか?」

「乗り場はあっちだよ。その言い方はしないほうがいい、『デリー』で通じるから」

「はあ、ありがとう」

11:30に出発したバスはアナウンスもなく予定より早い13:10にロンドンデリーにバス・ターミナルに到着した。

「ターミナル」というほどのサイズではなく、「駅前のバス・ストップ」という規模にちょっと戸惑った。(写真3)

「ここ『ロンドンデリー』ですよね?」

「そうだ。『デリー』だよ」

予定より早かったので、まだだろうと座っていたので最後に取り残された格好で、
降りるときにはドライバーはすでにおらず、他のバスを待っていた人に尋ねるとそう答えられた。

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やはりここでも『デリー』と言われ、ぼんやりと違和感が膨んだ。
ターミナルやバスなど公的なものには『ロンドンデリー』と表示されているのになんでだろう、という疑問符とともに。

消化不良の違和感を抱いたまま、ターミナルを後にしたが右も左もわからない。
2時間近く北に向かって走っていただけあり、肌寒さが強くなっていて、感覚的にも不安を煽っていた。

ターミナルの真横に美しい外壁と背の高い塔を持つ建物が威風堂々の佇まいを見せていたので、
まずはそこに立ち寄り、地図をもらうかツーリスト・インフォの場所を教えてもらうことにした。(写真4・6)
通常、街を訪れると荷物を抱えたスタイルで宿探しからはじまることになるが、
いらないものは置いてきたので身軽にいきなり街を闊歩できるので拍子抜けの感じだ。

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立派な建物で出迎えてくれたのは荘厳なパイプ・オルガンの演奏だった。

豪奢な音が響く中、ロビーで地図をもらい、街の見どころなどを説明してもらうと、
この建物が『Guildhall(ギルドホール)』と呼ばれる街の中心的建物であることがわかった。
ロビーの奥には観桜客向けに街の歴史や展示物が並べられている。

係員に礼を告げ、オルガンの演奏に惹かれ、2階に上がると今度は鮮やかなステンドグラスが出迎えてくれた。

広いホールの奥にパイプ・オルガンが据えつけられ、それを囲うかのようにステンドグラスが広がっている。
昼間の陽光に照らされ、パイプ・オルガンの演奏に支えられ、その輝きは割増しで美しく見えた。

「Sunday Bloody Sunday」を聞きながらくすんだ街を歩く、という目論見はどうやら外れたようだぞ。



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コメント 6

八犬伝

Free Derry Cornerには足を運ばれたのかな?
まさに、Bloody Sundayの現場に。
by 八犬伝 (2017-04-26 21:48) 

delfin

>八犬伝さん

ご訪問ありがとうございます。

おお~、よくご存じで!
というか、行かれたことがあるのでしょうか?
こんなところでご同胞に会えるとは!

この後、行きました、それほど見どころ多い街でもないですし(笑
by delfin (2017-05-01 16:00) 

八犬伝

はい
2度ほど行きましたよ。
ベルファストの、カトリック側のシャンキルロードと
プロテスタント側(名前失念)の壁画も凄いですよ。

by 八犬伝 (2017-05-02 00:42) 

delfin

>八犬伝さん

わ、2度ですか、ここで先駆の方にお会いするとは!

ベルファストの「平和の壁」の辺りでしょうか?
そこまでは足を伸ばさなかった・・・。
今でこそイギリス(UK=United Kingdom)の名の下に括られてますが、IRAのお膝元。
その中心地が見たくて、今回の旅です。
by delfin (2017-05-03 02:45) 

八犬伝

もしよろしければ、こちらからご覧ください。
http://hakkenden.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30

数回続いています。
by 八犬伝 (2017-05-03 21:50) 

delfin

>八犬伝さん

バタバタしていて返信遅くなりました。

情報ありがとうございます!

こちらも「Free Derry Corner」ネタ、UPです!!
by delfin (2017-05-11 16:24) 

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