Temple Bar @Dublin [Ireland]
―DAY3― 9月29日
少し早い時間に目覚めた、ドミトリーはまださまざまな寝息で満たされている。
周りを起こさないよう静かにベッドを降り、無人の共用シャワーでたっぷり熱いお湯を浴びた。
昨夜、早々に気を失ったおかげで、長い南回りのフライトの疲れをすっきり洗い落とせているようだった。
ドミの窓からは眩しい日差しが差し込んできていたが、ほとんどのベッドに動きはなかった。
朝食がはじまる7:30にキッチンに降りた。
安宿なのでパンを齧りコーヒーが飲めればいい、ぐらいに考えていたが、
調理場のように広いキッチンではスタッフがフルーツを切り分け、大皿に薄切りのハムやチーズを盛っていた。
燃料タンクのようなバカでかいオレンジジュースのボトルも置かれ、シリアルも用意されていた。
「どうぞ、取って行って」
寝起き顔でキッチンの準備を待っていた早起きの宿泊客が各々皿を持ち、ブッフェ状態で調理台に取りついた。
朝いちばんなので、盛りつけもそのまま、洗いたての皿やカップも整然としている、
恐らく1時間もすれば、食い荒らされ、散らかってしまうことだろう、早起きは何ユーロかの得らしい。
一泊2,000円しない安宿でこんな朝食がついているなら上等、コーヒーが飲めるだけでも大いなる幸せというのに。
「淹れたて」という部分を大いに評価してレビューに星5つあげてもいいかもしれない。
ハムとチーズ、カットされたオレンジ、シリアル、パンをがっつり皿に乗せ、
もう一方の手にはコーヒーに多めのミルクをぶち込んだマグを2つ持ち、広いリビングで席を探した。
この旅を重ねていってわかることだが、アイルランドの安宿には「朝食付き」のところが多く、
連日、新鮮なコーヒーに出会えるシアワセを重ねることになっていく。
旅の必需品のインスタント・コーヒーは持参してきていたがホトンド使わず、旅をやり過ごすことになっていく。
まるで学生寮のような広いキッチンにはWi-Fiが飛んでいた、あいにくドミ部屋には飛んでいない。
早い時間、人も少なく、会話を交わす相手がいたとしても朝からテンションあげて話す気にもならなかったので、
PCを広げ、メールチェックしながら、コーヒーを傾け、朝食を摂った。
昨晩はオープンサンドのようなもので軽めの夕食を済ませ、20時には2段ベッドの上段で気を失っていた。
ところが2段ベッドが20台近くも並ぶ部屋では深夜にデカイいびきが響き渡り、少しばかり安眠を妨げられた。
どうやら自分だけではないようであちこちで寝返りが繰り返され、2段ベッドの軋む音が各所で響いていた。
イビキの主のベッドを蹴り飛ばしにいくわけにもいかず、
あらかじめ用意していたイヤー・プラグを耳に押し込み、なんとか睡魔を呼び戻した。
男性ドミの一番の難点は「誰かのイビキ」だろう、モチロン南京虫に出会うとそれ以前のオハナシとなるが。
ここは男女混合のユニ・セックス・ドミだったので、あるいはイビキの主も女性だったのかもしれない。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-09-29 おんたいむ@ダブリン
9時を過ぎると広いリビングにも人が溢れはじめ、空いた席を探す人が増えはじめた。
コーヒーを飲み干し、キッチンでマグを濯ぎ、遅れてきた誰かに声をかけ、席を譲った。
並んでいたチーズとハムはとうになくなっていて、銀色の広い調理台は予想通り散らかっていた、
あるいは単に野良犬が通りがかっただけなのかもしれない。
宿の規模とベッドの数は最悪に近かったが、
熱いシャワー、ゆっくりの朝食、淹れたてのコーヒーが少しばかりマイナス気分を解消してくれたことは確かだった。
ベッドからカメラバッグだけ取り出し、宿前の『オコンネル橋』を渡り、(写真2)
『Temple Bar(テンプル・バー)』にある「ツーリスト・インフォメーション」に向かった。
そこで明日行く予定のベルファストへのバスの時刻と値段を尋ねると、片道16ユーロ、1時間毎に出ているという。
「ネットで確認した金額よりも安いですよね?」
「ああ、あれは正規の料金だわ、ここで買えば少し安くなるのよ」
案内所が代理店業務もこなしているのだろうか、どういうシステムかわからなかったが、
同じバスが安いならそれに越したことはない。
「往復ならもっと安いわよ、24ユーロ」
会話を重ねていくとドンドン安くなっていく、このまま話していればそのうち無料になるかもしれない。
「え~、往復安いなあ、でも戻ってくるかなあ」
帰国便はダブリンの空港から乗り込むことになっていたが、
気の利いた安宿がないこの街に戻ってくることに躊躇していた。
今と同じドミトリーに戻れば楽なのかもしれなかったが、あのベッドの大群にふたたび横たわるのは気鬱だった。
「じゃあ、片道だけ買っちゃいます」
カードが使えるということを聞いて、決めてしまうことにした。
街の北東にあるバス・ターミナルに足を運ぶ手間が省けるし、しかも安いのだから、迷う必要なし。
ああ、それよりもドコカの国も早く交通機関でクレジットカード使えるようにしてくれないかな。
旅の予定はこんな風に決まっていく、これで明日はベルファストにいることが決まった、あとは安宿探しだ。
いやいや、まずはリミットの決まったダブリンの街を堪能しなくては。
今朝、宿のスタッフに「無料のウォーキング・ツアーがある」という情報を教えてもらっていたので、
集合場所の『Bank of Ireland(アイルランド銀行)』前に戻ってみた。(写真4)
集合時間までに30分以上もあったので、さすがに誰かがいるわけでもなく、目印のカンバンがあるわけでもなく、
あてどなく待っているのもばかげていたので自分で歩くことにした、情報はあくまで情報、縛られることはない。
『テンプル・バー』を西に流れ、『City Hall(市庁舎)』を眺め、『Dublin Castle(ダブリン城)』へ。(写真5)
ダブリンの建物は3~4階建てがほとんど、条例などで制限されているのかもしれないが、
それにしても空への抜けが気持ちいい、文学的にいうならば「空が広い」という感じだ。
各所に公園があり、空との対比が心地いい、やはり看板や広告などの人工的な色は人の眼には強すぎるのだ。
ここ『ダブリン城』の中庭にも緑があふれていた。(写真6)
写真撮影に夢中な観光客よりも日向でくつろぐ人や子供を遊ばせている母親など地元の人のほうが多い。
完全に城の中庭というより近所の公園、観光名所らしさがなくてとてもいい雰囲気だ。
城自体も高さがないので威圧感がなく、空の抜けが気持ちいい。
濃い緑、空の青、石造りの建物、自然な色合いのなかでいくらでも歩けそうな気分だった。
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